和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月24日(日)

災害リスク低い山増やしたい 林業ベンチャー代表が講演

講演する「ソマノベース」の奥川季花代表(和歌山県田辺市秋津町で)
講演する「ソマノベース」の奥川季花代表(和歌山県田辺市秋津町で)
 熊野の森ネットワーク・いちいがしの会はこのほど、和歌山県田辺市秋津町のJA紀南中央購買センターで講演会を開いた。林業ベンチャー「ソマノベース」(田辺市文里2丁目)の奥川季花代表(26)が、自社で手がける事業を紹介し、林業を通して災害リスクの少ない山を増やしたいという展望を語った。

 奥川さんは那智勝浦町の出身。高校1年生の時に起きた紀伊半島大水害を機に、会社では「土砂災害による人的被害をゼロにする」ことを目指している。

 森林にはさまざまな課題があることを多くの人が理解しているが、解決に向けて行動することはハードルが高い。ならば、普段の暮らしの中で楽しみながら関わることができたら面白いのではないか―。そんな考えから、ドングリから苗木になるまでウバメガシを育ててもらうサービスを展開していると紹介。価格は1万円超だが「愛着を持って育ててくれるからか、『芽が出ない』とか『枯れてしまった』というクレームがこれまで1件もない。(購入者が)SNS(交流サイト)で成長具合を発信してくれるので、会社としては広告費をほとんど投じていない」と話した。

 講演後、受講者からは「植樹する場所はどう確保しているのか」「他の種は植えないのか」「社員は何人いて、どんな仕事をこなしているのか」など質問が相次いだ。いちいがしの会で会長を務める家高靖久さん(64)は「質問の多さは興味の表れだと思う。若い方の話は私たちにとっても刺激になった。今回を機に、ソマノベースとよいお付き合いができればいい」と話していた。