和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

刀匠安達さんの脇差し展示 田辺市龍神のドラゴンミュージアム

龍神村ドラゴンミュージアムに展示されている、刀匠・安達茂文さんが制作した脇差し(6日、和歌山県田辺市龍神村柳瀬で)
龍神村ドラゴンミュージアムに展示されている、刀匠・安達茂文さんが制作した脇差し(6日、和歌山県田辺市龍神村柳瀬で)
 和歌山県田辺市龍神村柳瀬にある交流拠点施設「龍神村Dragon Museum(ドラゴンミュージアム)」で、龍神村殿原の刀匠・安達茂文さん(64)=刀銘・龍神太郎源貞茂=が制作した脇差し1振りを展示している。

 安達さんによると、脇差しは刃長が41・7センチで、反りは1・1センチ。刀の表には剣巻龍(けんまきりゅう)、裏に下り龍の彫りを施している。江戸初期に紀州で活躍した名工の初代「南紀重国」による代表作の脇差しを手本として制作に挑戦した「写し」で、10年ほど前に1年かけて完成させた。さやなどの外装は、別の職人が手がけた。

 現在は、南紀重国について研究している和歌山市の愛刀家が所有しており、龍神村での展示のためにと好意で展示に協力してくれたという。

 安達さんは「南紀重国はかなりの腕前を持った刀匠で、評価も高い。姿形は似せていても本歌(手本となった元の脇差し)には遠く及ばないが、展示を通して和歌山にこれほどの名工がいたことを知ってもらいたい。昔の名工のデザインや粋なセンス、本歌の素晴らしさも想像してもらえたら」と話している。

 脇差しとともに、刀剣の主な種類、古刀や新刀など時期による区分、刃文の種類について解説するパネルも設置している。展示内容は1カ月ほどで変更し、10月には別の刀を展示する予定という。

 ドラゴンミュージアムは「龍」をテーマにした造形作品などを展示しているほか、地域の特産品などを販売するショップや、中山路郵便局の新局舎も併設している。施設の開館時間は午前9時~午後4時。展示スペースの入館料は中学生以上500円、小学生250円(小学生未満は無料)。