和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月27日(金)

計画への疑念拭えず 和歌山県のIR誘致、土壇場で「ノー」

 和歌山県が長年にわたり取り組んできた「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の誘致は、20日に県議会が「ノー」との判断を示し土壇場で頓挫した。「恥ずかしくないところまで(計画を)仕上げたつもりだった」。仁坂吉伸知事は記者団に無念さをにじませたが、事業者の資金計画などで最後まで議会の疑念を拭えなかった。

 県は2003年から東京都や大阪府など4都府県と「地方自治体カジノ研究会」を設置するなど、IRの機運を高める取り組みを進めてきた。

 17年に誘致の候補地を、和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」に一本化。21年8月には、カナダに本社があるIR投資会社の日本法人「クレアベストニームベンチャーズ」(東京都)を代表企業とする共同事業体と基本協定を結んだ。

 しかし、県議会の「IR対策特別委員会」では、事業者の透明性や事業の安定性などを疑問視する声が根強かった。採決直前の19日に開かれた委員会でも、オンラインで出席した事業者が「予定額を上回る資金が調達できる」と自信を見せたが、一部情報が明かされないなど県議の不信感は残ったままだった。

 IR計画の国への申請は28日が期限。大阪と長崎が近く提出する予定。政府はIRを地域活性化の起爆剤に位置付け、全国で最大3枠としてきたが、候補地は2カ所止まりになる。国の審査結果が出るのは秋以降とみられる。