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2024年12月23日(月)

特別委がIR議案を否決 和歌山県議会、20日に最終判断

和歌山県庁
和歌山県庁
 和歌山県が和歌山市への誘致を目指す「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の区域整備計画を巡り、県議会の「IR対策特別委員会」が19日に開かれ、国に申請する議案を反対多数で否決した。IR特別委が付託していた総務委員会と経済警察委員会は18日に「適当」と採決していた。県が国に計画を提出できるか、県議会本会議で20日午後、最終的に判断される。


 特別委にはIR事業者「クレアベストニームベンチャーズ」(東京都)のマリオ・ホー代表取締役がオンラインで出席。委員から、資金調達計画の実現性や参画する企業などの情報開示、ギャンブル依存症対策などについて質問が相次ぎ、午前に開会した会議は夕方まで続いた。

 途中、仁坂吉伸知事が出席。玉木久登議員(自民)が「絶対、和歌山で(IR誘致を)実現するという意気込みを言ってほしい。仮にできなかった場合、知事が責任を取ると考えているのか」と質問した。

 仁坂知事は「(国の審査は)いけると思っているが、全ての責任は私にあることは明らか。そのつもりで頑張っていく」と述べた。これまでのIR対策委で、質問に対する答弁が円滑にいかなかったとの指摘について「皆さまにご迷惑を掛けたのは全て、組織の長である私にある。深くおわびしたい」と話した。

 また、ホー氏は「これまで甚大な努力をしてくださったこと、有益な助言をしていただいことに感謝の意を述べたい」と話し、同意を求めたが、藤山将材委員長を除く採決では、賛成5人、反対10人で否決となった。

 閉会後、藤山将材委員長はIR議案の否決について「県としてIR誘致をやってきただけに、こういう結果は残念ではあるが、各委員が判断したことなので、尊重したい」とした。

■発議するも翌日取りやめ 百条委設置

 一方、IR特別委は19日、これまでに県からあった回答に虚偽の内容が含まれていた疑いがあるとし、これを調査する「百条委員会」(地方自治法第100条に基づく特別委員会)の発議を決めた。しかし、20日に開いた会議で一転、当日の議会運営委員会に諮る直前に取りやめた。

 問題視されたのは、3月のIR特別委で、委員からあった質問に対する回答。国に申請する計画の要求基準に関する内容で、県は後日「国に聞いたが、審査に関することなので答えられないとの回答があった」と回答していた。これについて、藤山委員長が直接、国に確認したところ「和歌山県に対し、質問の回答をした事実はない」との答えが返ってきたため、県の回答内容に疑義が生じたとして、賛成多数で百条委設置を求めることを決議していた。

 しかし、IR対策委は20日に対応を一転、発議することを賛成多数で取りやめた。吉井和視議員(自民)から「(職員)個人の責任を追及することになりかねない」との意見があったという。