和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

巨大地震に備え埴田の避難道路着工 みなべ町

整備が計画されている埴田医王寺避難道路の入り口付近(和歌山県みなべ町埴田で)
整備が計画されている埴田医王寺避難道路の入り口付近(和歌山県みなべ町埴田で)
「計画されている埴田医王寺避難道路」地図
「計画されている埴田医王寺避難道路」地図
防災備蓄倉庫の建築が予定されている防災拠点エリアの南東部(手前)。右奥の建物は「みなべ愛之園こども園」=和歌山県みなべ町南道で
防災備蓄倉庫の建築が予定されている防災拠点エリアの南東部(手前)。右奥の建物は「みなべ愛之園こども園」=和歌山県みなべ町南道で
 和歌山県みなべ町は同町埴田で、高台に避難する道路を造る工事を始める。近い将来発生が予想される南海トラフ巨大地震に備えた取り組み。同町南道で整備を進めている防災拠点エリアには2022年度、防災備蓄倉庫を建築する。


 埴田の避難道路は、埴田区と片町区の住民らが高台の避難場所「埴田医王寺」まで早く避難するために新設する。

 両区は海岸近くにあり、南海トラフの巨大地震を想定した町の津波ハザードマップでは、地震発生後24分で高さ10メートルの津波が押し寄せるとされている。埴田医王寺までの道はルートが複雑で道幅が狭いことから、道路の新設が求められている。

 この事業は、国の都市防災総合推進事業として補助を受けて進める。約500メートルにわたって片側1車線で歩道がある避難道路を整備し、町道池田皆浦線につなげる計画。18年度に事業に着手した。鉄道のトンネルを越えるルートということから、影響を調査したことなどにより遅れ気味だが、いよいよ着工する。用地買収をしながらで、25年度末までの完了を目指す。

 新設道路工事の関連事業として、町道埴田堺線沿いで約300メートルにわたって排水路を整備し、その後に新設道路の入り口に当たる山の斜面を削る。そのための事業費4473万円を21年度一般会計補正予算に盛り込んだ。

 さらに22年度事業として約60メートルにわたって道路やのり面の工事を進める計画で、その分の事業費5200万円を一般会計予算に盛り込んでいる。

 町総務課消防防災室によると「将来構想では、防災拠点エリアまで同様に広い道路でつなげることを視野に入れている」という。

 埴田区の田ノ岡郁也区長(64)は「今の道は狭いので、広くなれば避難しやすくなる。足が不自由な人でも車でなら早く逃げることができる。将来的に道路沿いの土地活用が進み、若者の定着につながることにも期待したい」と話している。

■食料や資機材保管 防災備蓄倉庫

 防災拠点エリアは、南道と東吉田にまたがる小山田地区にある。昨年秋には、住民の1次避難所や福祉避難所としての役目も担う「みなべ愛之園こども園」が建てられた。こども園は4月の開園だが、避難所としては1月初めから利用が可能となっている。

 防災備蓄倉庫はエリアの南東に建築する。新築工事請負費と管理業務委託料の計2億9千万円を22年度一般会計予算に盛り込んでいる。

 鉄筋2階建てで、延べ床面積806平方メートル。災害時用の食料や資機材を保管する。事務室もあり、非常用自家発電も備える計画。

 隣接する広場には23年度、消防車庫を建築する計画。

 エリア北東には防災広場を整備しており、同年度に災害時の簡易トイレ「マンホールトイレ」を設置する計画。