和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月20日(土)

公衆トイレ外壁にウミガメアート 南部駅、子どもたちの作品一つに

子どもたちの作品をハート形にしたウミガメアート。トイレの壁に飾られている(和歌山県みなべ町芝で)
子どもたちの作品をハート形にしたウミガメアート。トイレの壁に飾られている(和歌山県みなべ町芝で)
千里ウミガメ館に飾られている溝端秀章さんと松下恭子さんが制作したウミガメ作品(和歌山県みなべ町山内で)
千里ウミガメ館に飾られている溝端秀章さんと松下恭子さんが制作したウミガメ作品(和歌山県みなべ町山内で)
 和歌山県みなべ町芝、JR南部駅にある公衆トイレの外壁にウミガメのアート作品が飾られている。大小42のウミガメが悠々と泳ぎ、その群れはハート形。「ほっとさせられる」と駅の利用者や通行人に好評だ。


 飾られているのは、昨秋にあったJR紀勢線の駅舎などを舞台にした芸術イベント「紀の国トレイナート」で制作した作品。田辺市龍神村小家の造形作家、溝端秀章さん(69)とみなべ町埴田のイラストレーター、松下恭子さん(43)が企画した体験会で、家族連れや子どもらがベニヤ板にウミガメの図柄を思い思いに描き、会場に展示していた。その作品を「素晴らしいので、別の形で残しておきたい」と溝端さんと松下さんが壁に飾ってアートに仕上げた。

 ウミガメ作品は大きい物で長さ48センチ、小さいのは10センチとさまざまだが、どれも表情豊か。海流に乗って群れで泳ぎ、それをウツボとホウボウが眺めているという光景を表現している。ハート形には、貴重なウミガメを地元で大切に守っていきたいという気持ちが込められており、「I LOVE MINABE」の文字も添えている。

 親子3人でウミガメ作品づくりの体験会に参加した地元の山下恵里さん(35)は「楽しい体験をしただけでなく、思い出を残してくれ本当にうれしい。子どももすごく喜んでいる」と話す。

■千里ウミガメ館にも

 これとは別に溝端さんと松下さんが制作した大型のウミガメ作品は、本州有数のアカウミガメの産卵地で知られるみなべ町山内の千里の浜近くにある「千里ウミガメ館」の展示室に飾られている。

 作品は長さ140センチと118センチの2種類。並べてつるされており、雌雄のウミガメがみなべの海でゆったりと泳いでいるようだ。

 溝端さんは「みなべを訪れた観光客にたくさんのウミガメが産卵にやって来ることを知ってもらい、地元の人にはそれを誇りに思ってもらいたい」、松下さんは「他の地域からもたくさん訪れる二つの施設にほほ笑ましいアートを飾ることができた。ぜひ見てもらいたい」と呼び掛けている。