和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月26日(金)

和大生がサカキの栽培など見学 龍神でインターンシップ

サカキについての説明を大江俊平さん(左)から聞く学生ら=和歌山県田辺市龍神村小又川で
サカキについての説明を大江俊平さん(左)から聞く学生ら=和歌山県田辺市龍神村小又川で
 和歌山大学観光学部の学生4人が12日、田辺市龍神村を訪れ、シイタケやサカキなどの特用林産物を育てている現場を見学した。就業体験を通じて林業と地域について再発見し、森林や林業を生かした地域の未来づくりを考える和大の「地域インターンシップ プログラム」の一環。


 若い世代に山村地域の将来を考えてもらおうと県が和大に呼び掛け、林業が主産業の龍神村を紹介して事前学習や現地見学の手はずを整え進めてきた。

 特用林産物とは木材以外の山の恵みのことでキノコ、サカキ、炭などがある。学生は8月に大学で、特用林産物について県職員から講義を受け、この日は現地で学ぶために訪れた。

 学生はまず、原木シイタケを栽培している龍神村甲斐ノ川の伊藤泰造さん(74)を訪ね、品質の良いシイタケを育てる方法などを聞いた。原木に使うクヌギを実から植えて育てている所や、山中でシイタケを育てている現場も見た。

 続いて、広葉樹のチップを原料にした菌床シイタケの製造販売に取り組む「龍神マッシュ」を訪問。製造過程について説明を受け、伊藤委代子社長(74)の案内でハウス内で育つ肉厚のシイタケを見学した。

 昼食は、龍神マッシュのシイタケを使ったシイタケバーガーを龍神村福井の道の駅「龍游」のつぐみ食堂で食べた。

 最後に訪れたのは、龍神村小又川の「森林工房・大江」。経営する大江俊平さん(73)は、スギやヒノキの価格が落ちてきたことから、昔から山にあったサカキに注目したという。学生は、収穫して出荷するまでの過程について説明を受けた後、大江さん宅から約1キロの所にある山へ車で移動し、サカキが生育している所を見学。伐採した木材を搬出する機械も見た。

 大阪市出身の3年、小西良さん(21)は「皆さんから話を詳しく聞き、仕事に対する情熱や誇り、愛情を持ってシイタケやサカキを育てていることを感じた。最先端の情報産業は50年後どうなっているかは分からないが、林業なら今植えた木は残って財産となり未来はある。そういった提言をしたいと思っている」と話した。

 学生はこれまでに、大学での講義の他、龍神村を訪れて森林組合の製材所を見学したり、山で間伐を体験したりしており、今後は来年1月23日に龍神市民センターで住民と意見交換をする。これらの活動を基に、2月20日には同センターで学習の締めくくりとして、将来の龍神村の林業や地域を考えた意見を発表する。