和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

若者にもっと梅を 「農業遺産の梅」販売企画へ

梅干しの販売企画に乗り出した「Uumy」のメンバーら(京都市で)
梅干しの販売企画に乗り出した「Uumy」のメンバーら(京都市で)
 和歌山県みなべ町出身の学生6人が、特産の梅をもっと若者に知ってもらおうと、京都市内で飲食店を展開する会社と連携し、梅干しの販売企画に乗り出した。漬ける原料として、同町と同様に世界農業遺産の認定地である能登(石川県)で生産された塩を使っており「世界農業遺産の梅」としてPRしたいと意気込む。


 学生はいずれも、同町で開講している学習塾「至誠塾」(東亨塾長)の元塾生で、新型コロナウイルスの感染拡大により大学などが休校となり、古里に戻っていた際、地域のために何か活動をしようと思い立ち、塾長で農業もする東さん(41)に相談。東さんが、梅産地の魅力を発信する「みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会」のプロジェクトの一つ「梅贈りプロジェクト」のリーダーでもあることから、梅をPRしてはとアドバイスを受けた。「Uumy(ウーミー)」と名付けたグループを結成し、東さんも加わって活動を始めた。

 農業遺産の梅は、東さんが他の農家と一緒に昨年に手掛けており、それを若者にどのようにPRしていくかを検討。大学生が多い京都で売り込むことにした。地理的にみなべ町と能登の中間地点でもあり、世界農業遺産をアピールするためのストーリーを描けると考えたという。

 協力を求めたのは東さんの大学時代の友人、友添敏之さん(43)=京都市下京区。若者をターゲットにした飲食店を展開する「友添商店」の経営者で、農業遺産の梅企画に前向きに賛同してくれた。

 梅は、東さんが石川県珠洲市の製塩会社から仕入れた塩「揚げ浜式製塩」を使用して「白干し梅」に加工。8・5キロをパック詰めにした後、10月末に同商店に届けた。

 同商店では、運営する居酒屋やカフェ、洋風総菜店で食材として使用する予定。友添さんは「とりわけ女性に健康を意識した食事を求める人が多くなっている。梅は体にいいので注目してくれると思う」と話す。世界農業遺産の認定地で生産された梅や塩で漬けた梅干しを使っていることも書いて店内に張るなどしてPRしたいという。

 ウーミーのメンバーで大学生の野中宥里さん(20)=みなべ町西本庄出身=は「世界農業遺産に認定された地域で作られる産品は全国でもそうない。地域の人はもっと誇りに思ってほしい。古里から出て行った若者が帰りたいと思える魅力ある地域になるよう、私たちもPRしていきたい」。東さんは「若者が世界農業遺産を通じて、身近過ぎて気付かなかった梅の魅力を再認識する良い機会になったと思う。梅の魅力に気付く若者が増えれば大きな力にもなると思うので、活動を続けたい」と話している。Uumyの活動は写真共有アプリ「インスタグラム」で紹介している。