和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

今季も梅の剪定研修 人手不足解消に期待、みなべ

山本宗一郎さん(右)から剪定の仕方を学ぶ菅原岳さん=和歌山県みなべ町清川で
山本宗一郎さん(右)から剪定の仕方を学ぶ菅原岳さん=和歌山県みなべ町清川で
 和歌山県みなべ町清川の梅農家が、梅の枝を剪定(せんてい)する技術の習得を目指す人を今季も受け入れている。農作業の人手不足解消につなげるのが狙いで、現在のところ今年中に3人が研修をする予定。農家は、剪定の技術がある援農者が増えることを期待している。


 この取り組みを企画したのは、清川を拠点に農家に援農者を紹介する事業を手掛ける「アグリナジカン」代表の山下丈太さん(39)。地元の農家5戸と共に今年初め「みなべクリッパーズ」を設立した。

 山下さんによると、近年、離農者が増えていることで農家1戸当たりの農園面積が拡大し、作業量が増加している。そんな中、高齢化が進んでおり、秋~冬に木や脚立に登って行う剪定作業は危険性が高く、夏場の収穫期に次いで、援農者を求める声が年々多くなっているという。

 一方、援農者にとって、梅やミカンの収穫は夏から秋にかけてだが、冬場になると請け負う農作業が少なくなり、仕事の確保が難しいという。

 そこで、お互いにメリットがあるとして企画したのが剪定研修。座学などで基礎に触れる「ビギナーズキャンプ」と実技を主体とした「トレーニングキャンプ」の2段階に分け、計10日ほどかけて指導する。修了すると認定証を渡す。

 研修の受け入れは、剪定期間の10月~2月末。今年2月に初めて3人を受け入れたが、期間終盤だったために「ビギナーズキャンプ」のみの受講にとどまっていた。

 今季は、今月初めから和歌山市在住で大学4回生の菅原岳さん(23)が受講。13日に修了し、認定証を受け取った。来春から県農林大学校林業研修部(上富田町)に通い、林業の仕事を目指すというが、「剪定は奥が深く、教わってよかった。林業をしながらバイトとして手伝うことができればと思う」と話していた。

 12月には大学生やフリーで農業の作業をしている人が研修を予定している。

 指導は県の農業普及指導員もするが、ほとんどは地元の農家が受け持つ。受け入れ農家の一人である山本宗一郎さん(34)は「収穫だけでなく、剪定作業も人手不足になっている。援農者も一人でも多くの人が技術を身に付けてもらえればと思う」。山下さんは「この取り組みは農家、援農者の両方にメリットがある。技術を習得すれば、最初は清川地域で活動してもらい、その後に町内全域に広がっていけばと思う」と話している。