和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

「映像制作で地域貢献」 すさみ町の移住者が事業展開

映像制作などを手掛ける松山利基さん(右から2人目)。一緒に働く3人と充実した時間を送る=和歌山県すさみ町周参見で
映像制作などを手掛ける松山利基さん(右から2人目)。一緒に働く3人と充実した時間を送る=和歌山県すさみ町周参見で
 和歌山県すさみ町周参見の映像制作を手掛ける事業所が、企業や個人向けに研修やスクールも展開しており、子ども向けの事業も検討している。大阪府出身で町へ移住した代表の松山利基さん(28)は「事業を通じて地域に貢献したい」と話している。


 事業所は昨年10月に創業した「Chapter Two(チャプター・ツー)」。町多世代交流施設「イコラ」の一室が拠点で、6月には法人化する。これまでに町の観光PR動画を作ったほか、出版大手や地元企業とも取引し、実績を積んでいる。

 現在は、町出身の塩路大智さん(26)と林桂也さん(22)のほか、ユーチューバーのBiX(ビックス)さん(22)も協力している。3人は、事業所が町に拠点を構えたのを機に町へやって来た。

 企業の広告動画の制作だけでなく、研修やスクールも手掛けるのは「誰でも気軽に動画を持てるように」との思いからだ。営業活動や契約書の書き方など、事業に必要な技術も伝えている。

 松山さんが動画作成を始めたのは学生時代。映像制作会社での勤務を経て独立した。町へ移住する前は東京で暮らしていた。新型コロナウイルス感染症の影響でオンラインでのやりとりが増えたが、欠点はなく「どこに住んでいてもやっていける」と考えた。妻の沙月さん(28)が一足早く移住していたこともあり、すさみを選んだ。「自然が豊かなのはもちろん、人との距離が近くて仕事もしやすい」と充実した様子を語る。

 国内の動画広告市場は約3千億円といわれ、今後も広がりが予想される。スマートフォンの普及で誰もが簡単に動画を見られる時代だが、その分、競争は激しい。どれだけ見られているかも毎秒ごとで分析できるだけに「冒頭が非常に重要。2、3秒でいかに心をつかむかを大切にしている」という。

 すさみで一緒に働く人を増やしていきたい―。松山さんの今の目標だ。「『動画と言えばチャプター・ツー』と言われるようにしたい。全国の地方を助けるためにも、この地でモデルをつくり上げたい」と意気込んでいる。