和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年05月06日(木)

梅の剪定枝が薫製チップに 和歌山県工業技術センター研究

薫製用チップとして活用できることが分かった梅の剪定枝のチップ
薫製用チップとして活用できることが分かった梅の剪定枝のチップ
毎年、剪定して処分される梅の徒長枝
毎年、剪定して処分される梅の徒長枝
 和歌山県工業技術センター(和歌山市)が、梅の剪定(せんてい)枝を薫製用のチップとして活用できないか研究したところ、十分な香り成分があり、薫製作りに使えることが分かった。近年、キャンプなどアウトドアレジャーブームで薫製作りも人気があり、センターは剪定枝の新たな活用として広がることを期待している。


 みなべ町や田辺市を中心とする梅産地の農家では毎年、秋から翌年の春先にかけて、梅の徒長枝の剪定作業に追われる。剪定した枝の一部は、農協が農家からきれいな枝先を集めて正月用の飾りとして出荷しているが、大部分は農家が剪定枝を粉砕して畑に戻したり、焼却処分したりしている。

 センターは、農家が剪定して処分しなければいけない枝を何とか活用できないか、薫製製品作りに利用できれば地域資源になるのではないかと考え、研究した。

 薫製作りでは木材を細かく砕いたチップを燻煙剤として、下から火にかけて煙を出して、干物やチーズ、ナッツ類、肉などの食材をいぶし、風味を楽しむ。チップはサクラやリンゴ、クルミ、ヒッコリーなど多彩で、樹種による違いやブレンドなどでも楽しめる。

 研究では、徒長枝のチップを、3・5ミリ程度までの大きさ別や、市販されているサクラの木のチップと比較するなどして、薫製の香り成分の発生状況を調べた。

 大きさによる違いはなく、サクラの木のチップとの比較でも、スモーキーな香り成分が上回るなど、徒長枝のチップでも十分、薫製作りに使えることが分かったという。

 活用例として、梅を漬ける塩に、梅の剪定枝チップによる燻煙をしてみたところ、薫製の風味が楽しめる調味料としても使えそうだという。

 徒長枝は先端部から基部までまるごとチップに使えるが、カビの発生を抑えるために、風通しの良い場所で乾燥させ、水分を15%以下に抑えた上でチップ化することを勧めている。また、80度程度で乾燥させても成分に大きな影響はないという。利用に当たっては、残留農薬を避けるため、農薬散布前の徒長枝を使うことも呼び掛けている。

 センターは「廃棄している枝を活用できれば、SDGs(持続可能な開発目標)にもつながる。研究成果が今後、産地での活用、農家収入に少しでもつながれば」と話す。