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2024年12月24日(火)

議員定数22から20へ 動議提出に即日可決 田辺市議会

田辺市議会の定数推移
田辺市議会の定数推移
全国類似団体の議員定数比較
全国類似団体の議員定数比較
 和歌山県の田辺市議会は26日、議員定数を現在の「22」から「20」に削減する条例一部改正案を賛成多数で可決した。3月定例会初日のこの日、議員から動議が出され、即日可決した。定数削減は「26」から「22」になった2013年の市議選以来。4月18日告示の次期市議選から適用される。


 今回の定数削減については、2月に入ってから2回の会派代表者会議(非公開)で協議してきたが、これまで公の場では議論がされていなかった。

 動議は陸平輝昭議員(無)が提出。市の人口減少が進んでいることや、人口規模が似ている全国自治体の議員定数が平均20であることなどを挙げ「財政状況も勘案して、定数削減を提案した」と理由を説明した。

 質疑では二葉昌彦議員(無)が「次期市議選が迫るこのタイミングでの削減は、性急では」と質問。陸平議員は「前回の削減から8年がたち、このままだとさらに4年間、定数について考えないことになる。人口減少が続く中で、定数減が市民に対しても親切になると思う」と答えた。

 その後の討論では、松上京子議員(無)が「大切なことであるにもかかわらず、十分な議論がされていない。議員にかけるお金は少ない方がよいというのは、議員の存在価値の低さを自ら認めることであり、市民がそう判断するのなら大いに反省すべきだ。選挙直前のこの時期に提案するのも公正ではない」などと反対。共産党の3議員も「少数派の意見が届かなくなり、市民にとってデメリットが大きい」などと主張した。

 賛成討論では塚寿雄議員(無)が「近隣の自治体でも定数削減が取り組まれている。今後の人口減少や財政状況などを総合的に勘案し、妥当な判断だ」と述べた。

 安達克典議長と欠席の高田盛行議員(無)を除く20人による採決では、賛成15人、反対4人。1人が棄権した。

 賛成は陸平、塚、尾花功、市橋宗行、宮井章、橘智史、柳瀬理孝、北田健治、福栄浩義、浅山誠一、中本賢治、安達幸治(以上、無)、小川浩樹、佐井昭子、出水豊数(以上、公明)の各議員。

 反対は松上(無)、久保浩二、川﨑五一、前田佳世(以上、共産)の各議員。採決を前に二葉議員(無)は退席した。

 一方、共産党の3議員は、定数を維持したまま議員報酬を月額4万円削減する条例一部改正案を提出したが、賛成少数で否決された。

 市議会の定数は05年の市町村合併時に30でスタート。09年の改選時に旧市町村単位の選挙区を撤廃して26になり、13年に22となった。

 現市議の任期満了は21年5月21日。

■候補予定者 戸惑いの声も

 市議選の告示まで2カ月を切った時期での定数削減に、立候補を予定している新顔からは戸惑いの声も聞かれた。

 立候補予定者の一人は「人口が減少する中、定数20は適切だと思う。ただ選挙前の急な展開で新顔には厳しいというのが本音」と漏らした。

 別の立候補予定者は「十分な議論がないまま、大事なことを決める議会でいいのか疑問。ただ、定数減が必ずしも新顔にとって不利とは思わない。当選したら活発な議論ができる議会に変えていきたい」と話した。