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食糧の自給率向上で意見交換 プラス・野田会長と東大大学院・鈴木教授

野田忠・プラス会長(左)と鈴木宣弘・東京大学大学院教授
野田忠・プラス会長(左)と鈴木宣弘・東京大学大学院教授
 「食料安全保障推進財団」理事長で、東京大学大学院の鈴木宣弘教授(63)が5月31日、産直市場「よってって」を展開する「プラス」(本社・和歌山県田辺市)を視察した。同社の野田忠会長(86)と対談し、ともに危機感を持つ日本の食料自給率の向上や農家支援に向けた取り組みについて意見交換した。


 「よってって」は2002年5月に田辺市稲成町に1号店をオープンし、現在は県内や大阪府、奈良県に計27店舗を展開する。また、野田会長は17年に私財を投じて「プラス農業育成財団」を設立し、新規就農者への助成金給付や優秀農業者の表彰をするなど、農家支援を続けている。昨年度には、市や県に農業振興を目的にした多額の寄付もしている。

 一方、鈴木教授ら農業政策の専門家が中心になって今年3月、食料安全保障の危機に直面する中、国民全体で食料生産を支える機運の共有や具体的行動につなげようと食料安全保障推進財団を設立。そうした鈴木教授の活動を知った野田会長が鈴木教授との対談を希望し、実現した。鈴木教授は、市内の「よってって」店舗や、プラス財団が支援する新規就農者の園地視察もした。

 野田会長は「よってって」では農家が価格を自分で決めて生産物を販売し、さらに多店舗に出品することで所得が上がり、消費者にも新鮮で顔の見える地元の商品だと喜ばれ、地域貢献につながっていることなどを紹介した。

 「地域でお金が回る地域循環型のビジネス。日本の農業に貢献するのが私の使命で、このビジネスモデルを全国に広げたい」「農家所得を上げないと農家が消滅していく」と語った。

 鈴木教授は「素晴らしい展開。単体の直売所での農家所得には限界があるが、多店舗展開でその課題を打破しており、農家の大きな希望の光だ」と感心した。

 また、食料安全保障推進財団での活動については、地域循環するような農業の仕組みが作れないかと考え、各地域で生産者と消費者が話し合う機会を持ち、行動計画を作ろうとしていると説明。活動に賛同する個人や組織、企業に会員登録をしてもらい、その会費を原資に財団が取り組みを支援していくという。

 鈴木教授は「どうすれば支え合えるかの行動計画を考え、全国的な動きを高めるための具体例として、プラスの直売の仕組みを良い事例として知ってもらうことが重要だ」と語った。

 田辺市上秋津の農家、中山尚さん(46)も同席し、生産や販売にかける思いを伝えた。中山さんは「よってって」1号店から出品し始め、現在全店で主に梅干しを販売している。「よってって」での商品販売や、店舗が広がってライバルが増えたことが、自分の成長につながっていることなどを説明した。

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