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新規就農や優秀者17人表彰 プラス財団、野田理事長は6億円寄付

野田忠理事長(中央)と優秀農業者表彰を受けた泉雅晴さん(左)と新規就農助成給付を受けた境陽平さん=田辺市稲成町で
野田忠理事長(中央)と優秀農業者表彰を受けた泉雅晴さん(左)と新規就農助成給付を受けた境陽平さん=田辺市稲成町で
 農業者の育成を目的とする公益財団法人「プラス農業育成財団」(田辺市宝来町)は22日、田辺市稲成町のよってっていなり本館で、新規就農者13人への助成金給付と優秀な農業者4人を表彰する式典を開いた。財団の2021年度事業報告では、野田忠理事長(86)が財団に6億円を寄付したことが明かされた。

 財団は産直市場「よってって」を運営する「プラス」(宝来町)の野田理事長が17年、私財を投じて設立。以降、毎年度、新規就農者への助成金給付と優秀農業者の表彰事業を続けている。財源は全て理事長からの寄付で、昨年12月の6億円を含め、設立時からの寄付は合わせて7億1千万円に上る。

 この日の表彰式は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、規模を縮小した。助成と表彰はそれぞれの代表者1人ずつ出席。来賓で県農林水産部の山本佳之部長や田辺市農林水産部の木村博充部長らが出席した。

 優秀農業者表彰を受けた田辺市上秋津の泉雅晴さん(56)は「今後も高品質な農作物の生産を心掛けるとともに指導農業士としても尽力したい」、新規就農の助成給付を受けた田辺市城山台の境陽平さん(33)は「新規就農は一から農地の問題、資金調達の問題に直面する。助成金制度をきっかけに、農業を始める人も出てくると思う」と謝辞を述べた。

 野田理事長はあいさつで、農家の減少や耕作放棄地の増加など、農業を取り巻く厳しい現状について触れ「国内の食料自給率が37%と低いまま改善されることなく海外に依存している。日本の農業がこのままでいいのか。何とか農業の繁栄に協力したい」と述べ、財団の趣旨を説明した。

 この20年間にわたる産直市場「よってって」の経営についても紹介し「和歌山、大阪、奈良に28店舗を展開。国や県からの補助金を一切頂かず、自前で多店舗化に取り組み、生産者の所得向上につなげてきた。このプラスのモデルをもっと広く展開していきたい」と語った。

 よってっての運営によって、プラスはこの10年間で納税額35億円、人件費90億円に上る。さらに、生産農家やテナントへの支払いは年間約100億円という。

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