和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

遺族会が慰霊碑掃除 紀伊半島大水害9年を前に

紀伊半島大水害から9年を迎えるのを前に、犠牲者の氏名などが刻まれた石碑を磨く那智谷大水害遺族会の岩渕三千生代表(29日、和歌山県那智勝浦町で)
紀伊半島大水害から9年を迎えるのを前に、犠牲者の氏名などが刻まれた石碑を磨く那智谷大水害遺族会の岩渕三千生代表(29日、和歌山県那智勝浦町で)
 紀伊半島大水害から9年を迎えるのを前に、29人が犠牲となった和歌山県那智勝浦町で29日、那智谷大水害遺族会(岩渕三千生代表)と地元の建設業者などの有志が同町井関にある「紀伊半島大水害記念公園」を掃除した。今年はコロナ禍で、慰霊祭の式典が中止になるなどの影響も出ている。

 公園の清掃は毎年、記念公園で営まれる慰霊祭の前に取り組んでいる。

 この日は午前8時ごろから約30人が参加し、公園周辺の草を刈ったり、犠牲者の氏名などが刻まれた石碑を磨いたりした。

 岩渕代表(59)は「毎年、何らかの形で慰霊祭のようなものを続けていくことによって、人はこういうことがあったことを忘れないと思う。後世に伝えないから、被災して『こんなの初めてだ』ということになる。忘れさせないことが一番大切」と話していた。

■9月4日に追悼の行事

 那智勝浦町では遺族会が9月4日午前1時から、記念公園で犠牲者の人数と同じ29個の発光ダイオード(LED)ライトをともす追悼供養の行事を営む予定。例年はキャンドルを使っているが、コロナ禍の影響で今年は制作できなかったという。

 同日午後1時半からは町主催の慰霊祭を開催。例年は多くの遺族ら関係者が参列して式典を開いているが、今年は新型コロナの感染防止のために式典を中止し、町長と遺族会代表2人による献花のみとする。 

 新宮市では9月4日午前8時半から市消防本部が「消防安全の日の誓い」として、殉職した消防団員らを消防顕彰碑前で追悼。午前9時半からは、同市熊野川町田長にある道の駅「瀞峡(どろきょう)街道熊野川」で、市長らが同市の犠牲者14人の氏名が刻まれた慰霊碑に追悼の献花をする。