和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

海のない町に津波避難施設 古座川さかのぼり浸水想定

完成した津波避難施設(和歌山県古座川町高池で)
完成した津波避難施設(和歌山県古座川町高池で)
 和歌山県古座川町高池で建設が進められていた津波避難施設が完成した。今後、駐車場のアスファルト舗装、周囲のフェンス設置、排水溝などの工事に取り掛かり、11月ごろから正式に供用が開始される予定だ。

 県道高瀬古座停車場線沿いに建設された施設は、鉄筋コンクリート2階建て。敷地面積1187平方メートル、延べ床面積548・32平方メートル。地面からの高さは屋上が8・4メートル、2階の床が4・6メートル。1階に洋室、ホール、調理室、男女別と多目的のトイレなど、260人が避難できる2階には会議室、和室、湯沸室、トイレなどがある。定員13人のエレベーター、自家発電設備を備える。駐車場は19台分確保しており、平時は集会所などとしても活用できる。事業費は約2億6千万円。

 同町は海に面していないが、高池地区は町内の古座川最下流部にあり、県のシミュレーションでは南海トラフ巨大地震で最大3・4メートルの津波浸水が想定されている。近くに山への避難路はあるが、高齢者が多く避難が困難なケースが考えられる上に、地震で山が崩れる危険性もあることから、地域住民から避難所の建設を求める声が町に寄せられていた。

 高池地区は、2011年9月の紀伊半島大水害で、古座川の氾濫により多くの床上床下浸水被害があった地域。完成した施設の正式な供用開始は先になるが、有事は避難所として使用できるよう、町は区長に施設の鍵を預けているという。