和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

サンゴの産卵始まる 串本沿岸、例年よりやや遅く

一斉に産卵するサンゴ(和歌山県串本町沿岸で)=串本海中公園センター水族館提供
一斉に産卵するサンゴ(和歌山県串本町沿岸で)=串本海中公園センター水族館提供
 和歌山県串本町有田にある串本海中公園センター水族館は18、19日、水族館前の海でサンゴの産卵を確認した。

 産卵したのはグラスボート乗り場の水深2~4メートルに群生するスギノキミドリイシ、クシハダミドリイシ、ナカユビミドリイシ、ニホンミドリイシの4種類。水族館の平林勲学芸員(29)によると、18日の産卵はごく一部の群体による小規模なものだったが、19日は大規模な一斉産卵となり、港内のおおむね7割ほどのミドリイシ類が産卵したという。

 このうち、港内で最も群体数の多いスギノキミドリイシとクシハダミドリイシの産卵は、19日午後10時すぎから11時ごろまで続き、ピーク時には水中一面がサンゴの放出した精子と卵が入った薄ピンク色の「バンドル」(直径約1ミリ)で覆われ、圧倒されるような光景となったという。

 平林学芸員は「今年は水温が低く雨も多かったせいか、例年に比べてやや遅い一斉産卵となったが、同日に複数の種類が産卵するダイナミックなものとなった」と話した。 串本沿岸海域は、サンゴが群生する世界最北限域とされ、2005年11月、世界的に重要な湿地を保全するラムサール条約に登録された。

 水族館は20年以上前からこの海域でサンゴの産卵を調査している。今後は8月にかけてエンタクミドリイシの産卵が予測されるため、引き続き観察を続けるという。