和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

サンゴの景観回復へ 串本でオニヒトデ2千匹駆除

再生したサンゴ(写真はサンゴを食害する動物駆除実行委員会提供)
再生したサンゴ(写真はサンゴを食害する動物駆除実行委員会提供)
オニヒトデ駆除の参加者
オニヒトデ駆除の参加者
 和歌山県串本町内のダイビングショップでつくる「サンゴを食害する動物駆除実行委員会」(御前洋代表、43人)は、町内の海域で続けている食害動物駆除の2019年度の結果をまとめた。オニヒトデが2014匹と前年度より293匹多かったものの、近年は少ない数で推移しており、食害が始まる以前の美しいサンゴの景観を取り戻してきているという。


 オニヒトデによる食害は、02年ごろに和深沖と通称「グラスワールド」周辺で確認され、04年度から駆除を実施。駆除数は05年度に2万匹を超えたが、その後、年々減少し、11年度からは800~2200匹台で推移している。

 19年度の駆除作業には会員延べ286人が参加し、12カ所で43回実施。住崎、双島、安指―船波での駆除数が1949匹と全体の97%を占めたという。

 実行委は、イシサンゴ類を常食とする巻き貝(主にシロレイシダマシ類)も駆除している。1998年に串本海中公園海域公園地区で異常発生し、99年から毎年駆除しているが、2002年度の14万8514匹をピークに年々減少。12年度からは1200~3400匹台で推移している。19年度の駆除作業は住崎など5カ所で13回行い、延べ82人が参加。前年度に引き続きオニヒトデを主体に駆除作業を行ったため、駆除数は前年度より3匹少ない105匹だった。

 実行委によると、町内に生息するイシサンゴはオニヒトデと巻き貝の大発生により一時甚大な被害を受けたが、食害から逃れた群体や新規加入した稚サンゴの成長により、食害以前の景観を取り戻しつつあるという。

 実行委は今後について「今年も気象庁で黒潮流軸の離岸の継続が報じられていることから、南方から漂着するオニヒトデの卵や幼生の減少が期待されるが、増加傾向にある四国方面からの漂着が懸念される」と分析。生息が集中している住崎と安指―船波周辺で再生サンゴの食害が見つかっていることから、7月末ごろに迎える繁殖期までに多くのオニヒトデを捕獲する必要があるとしている。