和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月24日(火)

長引く雨、土砂災害警戒 斜面崩壊で社務所倒壊も

斜面の崩落で谷崖に落ちた須佐神社の社務所。屋根だけが見えている(7日、和歌山県田辺市中辺路町西谷で)
斜面の崩落で谷崖に落ちた須佐神社の社務所。屋根だけが見えている(7日、和歌山県田辺市中辺路町西谷で)
 梅雨前線の影響で、和歌山県紀南地方では4日から断続的に強い雨が降っている。6日には斜面崩壊で社務所が倒壊したり、土砂崩れによる道路の通行止めが相次いだ。和歌山地方気象台は「8日も激しい雨が降る所がある。これまでの雨で地盤が緩んでいる所があり、土砂災害に警戒してほしい」と呼び掛けている。

 気象台によると、5日午後3時~7日午前5時の紀南の累積雨量は護摩壇山(田辺市)で401・5ミリ、龍神(同)で287ミリ、栗栖川(同)210ミリを観測した。

 この雨で、田辺市中辺路町西谷にある須佐神社前の斜面が崩れ落ち、石垣と一緒に社務所が倒壊した。

 地元の住民らによると、6日午前2時ごろに斜面が崩れ落ち、正午前にも崩れたという。2度による崩土は幅約15メートル、高さ約20メートルにわたり、土砂や樹木の一部は下を流れる谷川「東の谷」に達している。

 西谷町内会長の鷹押幹男さん(70)は「以前から亀裂が確認されていたので、いずれ崩れるのではないかと思っていたが、いざ崩れるとつらい。地区の氏神を祭っているので放っておくことはできない」と表情を曇らせる。

 境内に亀裂はまだあり、再度崩れる可能性がある。住民からは「谷川がせき止められ、浸水や土石流が起こらないか心配だ」という声も出ている。

 田辺市内では、伏菟野の県道温川田辺線が約16メートルにわたる崩土のため、全面通行止め。同市龍神村の市道広井原三ツ又線も一部山崩れのため、通行止めとなった。

 このほか、県道では同市上秋津の田辺龍神線、みなべ町熊瀬川の滝切目停車場線が4日から、田辺市和田の近露平瀬線が5日から全面通行止め。紀勢自動車道では南紀田辺インターチェンジ(IC)―上富田ICが6日から全面通行止めで7日正午現在、復旧していない。

 学校にも影響が出ている。田辺・西牟婁の小中学校では、田辺市龍神、中辺路地域の小学校5校、中学校2校が朝から自宅待機となっている。

 紀南の県立学校では、南部高校(みなべ町)、南部高校龍神分校(田辺市)が自宅待機。南紀支援学校(上富田町)とはまゆう支援学校(同)は臨時休校となった。