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2024年11月23日(土)

日本遺産に和歌山県関係2件 葛城修験と女人高野

日本遺産「葛城修験」の構成文化財の一つ「紀州加太浦 採燈大護摩供」(和歌山市で)
日本遺産「葛城修験」の構成文化財の一つ「紀州加太浦 採燈大護摩供」(和歌山市で)
 文化庁は19日、本年度に登録する「日本遺産」に、和歌山県内関係で、和歌山市や岩出市などの「葛城修験」に関する物語と、高野町や九度山町などの「女人高野」に関する物語の2件を認定したと発表した。これで県内の日本遺産は7件となった。

 日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化や伝統の物語を文化庁が認定する制度で、2015年度に開始。認定の最終年度となった本年度は申請69件のうち21件を新たに認定、日本遺産は104件となった。

 「『葛城修験』―里人とともに守り伝える修験道はじまりの地」は、県が代表となり、和歌山市、橋本市、紀の川市、岩出市、かつらぎ町、大阪府の9市町村、奈良県の5市町が申請した。和歌山市の加太春日神社や岩出市の根来寺などが構成文化財となっている。

 物語は、葛城修験は、修験道の開祖とされる役行者が初めて修行を積んだ地で、吉野・大峰と並ぶ「修験の二大聖地」と言われていること、地元の人々との深いつながりがあることなどをまとめている。葛城修験の物語は昨年度に続き2回目の申請で、認定された。

 「女性とともに今に息づく女人高野~時を超え、時に合わせて見守り続ける癒(いや)しの聖地」は初めての申請。大阪府の河内長野市が代表となり、和歌山県九度山町と高野町、奈良県宇陀市が申請した。構成文化財は高野町の女人道、不動坂口女人堂、九度山町の慈尊院など。

 高野山は近代まで女人結界が定められ、山内での女性参拝はできなかったが、女性の声を聞く「女人高野」という寺があり、物語には現代も女性を癒やしているなどといった内容を盛り込んでいる。

 仁坂吉伸知事は「歴史的な背景に根差したそれぞれの価値が評価されたと考えている。認定を契機に、受け入れ体制の整備や認知度向上の取り組みを進める」とコメントしている。

 安珍清姫の物語については、県が昨年度まで2回連続で申請し、本年度も安珍清姫の物語を含む絵解き文化として提出したが、認められなかった。県関係ではこのほか2件も認定が見送られた。