和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月16日(月)

オンラインで和大生らに梅の収穫伝達 みなべの農家

梅農家、小田修さん(右)の収穫の様子をリアルタイムで動画で伝える上野章さん(17日、みなべ町清川で)
梅農家、小田修さん(右)の収穫の様子をリアルタイムで動画で伝える上野章さん(17日、みなべ町清川で)
 和歌山県のみなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会のプロジェクトチームによる取り組みの一環で17日、みなべ町の梅農家が町内の梅畑からオンライン会議システムを通じて、和歌山大学観光学部の学生向けに、収穫作業の様子や世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」について伝えた。


 和大の学生の協力を得て「みなべ・田辺の梅システム」を小中学生が楽しみながら学ぶことのできるプログラムを作ろうと、昨年から始まった「まちキャンパスプロジェクト」の取り組み。学生は学部のプロジェクト演習として2年生13人が参加した。

 当初は、学生に収穫体験をしてもらいながら伝える予定にしていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、学生は自宅からオンラインで参加した。大分県から参加した学生もいた。

 梅農家でプロジェクトリーダーの同町東吉田、上野章さん(48)が同町清川の梅農家、小田修さん(45)の畑で収穫の様子の動画も交えながら説明した。町うめ課職員もスマートフォンで畑や木の様子を写すなど協力した。

 上野さんははじめに、みなべ町は縦に長く、清川は最も奥の山間部で、冬には雪が降るため、スタッドレスタイヤが必要な地域であること、町の梅の栽培面積は約2千ヘクタールで、隣の田辺市を合わせると、生産量は全国の半分以上を占めることなどを説明した。

 その後、畑の様子を映し出して、落ちる梅は青い防風ネットを敷いて収穫していることや45度ほどの急斜面で作業をしていることの他、収穫した実が入ったコンテナをモノラックに積んで運んでいる様子なども伝えた。

 「みなべ・田辺の梅システム」については、梅はミツバチの授粉によって実がなること、梅畑の周囲に薪炭林を残し、生物多様性がある中で梅を栽培していること、栽培や収穫方法などのシステムは時代とともに進化し、産地では工夫を重ね、全国や世界に良い梅を届けようと取り組んでいることを伝えた。

 後継者問題に関して、子どもたちにきちんと地元の梅システムのことを教え、良さを知ってもらうことが大切だと考えており「そのことで大人になってから誇りを持ち、自分の古里がすごい町だと発信してくれ、後継者も出てくると思っている」と語った。

 学生からは「冬場はどんな作業をしているか」「外出自粛で料理をするようになったが、お薦めの梅料理はあるか」といった質問があった他、「普段当たり前のように手に入る梅だが、生産者がどういう思いで私たちの元に届けてくれているか知ることができる初めての機会になった。これからは大切に食べようと思った」「小中学生に理解してもらえるようにしたい」という感想が寄せられた。

 上野さんは「違和感なくやり取りができた。現場では話す人の近くにいる人は聞こえて、離れている人は聞こえにくいといった場合もあるが、オンラインでは参加者に平等に伝えられるメリットがある」と話した。学生たちは10月には町を訪れる計画にもしているが、再度、今回のようにオンラインで現地と結んで学ぶことも検討するという。