和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月18日(水)

梅雨に咲くアジサイ楽しむ 印南町印南原、イベントは中止

雨の中で生き生きと花を咲かせるアジサイ(和歌山県印南町印南原で)
雨の中で生き生きと花を咲かせるアジサイ(和歌山県印南町印南原で)
 和歌山県印南町印南原の山間部に地元の有志グループ「稲原さんぽ道の会」が整備している「段々花畑」で、アジサイ(アジサイ科)がきれいな花を咲かせている。グループは今年、新型コロナウイルス感染拡大防止のため花を観賞するイベントの中止を決めたが、丹精込めた花を見ようと、近隣市町からも見物の人が訪れている。

 現場は通りから外れた山の中腹にある。メンバーの一人が地元を訪れてくれる人を増やしたいと、かつてミカン畑だった土地を借りて開墾したのがきっかけ。花畑を管理するため有志を募ってグループを結成し、現在は地元の50~70代の男女16人で活動している。

 アジサイは、最初に植えたものの他、地元住民に提供してもらった枝を挿し木するなどして、今は50~60株になっている。メインの園地には紫や青、白といったさまざまな色の手まり状のアジサイが点在している。つづら折りの遊歩道を歩きながら間近で観賞できる。メインの園地に至る沿道にも、ショウブ(ショウブ科)などを植えている。ヤマアジサイも咲いている。

 今季のアジサイは6月初めから咲いており、6月いっぱいは楽しめるという。

■今季はイベントなし

 山の中にある園に招待しようと、2年前からはイベント「アジサイ祭り」を企画。花の観賞とともに、じゃんけん大会などで来訪者とメンバーが交流していたが、今年は新型コロナで近隣地域でもイベント自粛が相次いでいることから、中止を決めた。

 しかし、近隣市町からも、花を見ようと人が訪れている。夫婦で訪れたという御坊市湯川町の農業男性(65)は「山の中にアジサイがたくさん咲いていて、とてもきれいだった。手間を掛けて育てているのが分かり、感心した」と話し、梅雨に咲く花の姿に目を細めていた。

 グループは、6月中も沿道の草刈り作業などをして整備をする予定。園には花の他に、春や秋にはほだ木を並べてシイタケを育てており、来訪者らに無料でプレゼントしている。

 さんぽ道の会の谷章資会長(66)は「イベントを開いて花を楽しんでもらってきたが、今年は開くことができずに残念。アジサイの様子を聞いて足を運んでくれる人がいるので、メンバーたちは励みになっている」と話している。

 園の場所は、県道沿いにある「ふるさと産品所」から、山道を北西方向に約1キロ弱入った所。メインの園地の手前に車両通行禁止の看板があり、そこからは徒歩での来場を呼び掛けている。道が分かりにくい場合、JR稲原駅前にある「喫茶史」でも道順を案内している。