和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

和歌山県最大の自然公園誕生 希少生物多い大塔山系を指定

県立自然公園に指定された大塔山山頂付近(和歌山県提供)
県立自然公園に指定された大塔山山頂付近(和歌山県提供)
 和歌山県は県環境審議会の答申を受け、地域固有種を含めた希少な生物が多く生息する大塔山系(田辺市、新宮市、古座川町)を新たな県立自然公園に指定した。これまでの「大塔日置川」と「古座川」の両県立自然公園の一部も編入し、県内最大となった。「大塔日置川」は「日置川」に名称を変更した。


 「大塔山県立自然公園」は12カ所目の県立自然公園で総面積9968ヘクタール。「古座川」から135ヘクタール、「大塔日置川」からは1622ヘクタールをそれぞれ編入した。県立自然公園全体の16・6%を占める。指定区域では、新規の開発を抑制し、伐採や建築には県の許可が必要になる。

 指定区域には、本州南限のブナ林がある。絶滅が心配されているトガサワラやキイジョウロウホトトギス、ハイノキなどの植物が自生し、ツキノワグマやクマタカ、ノレンコウモリ、ヤマセミなどの希少動物が生息している。大塔山頂の北側には、県指定天然記念物の「ナンキセダカコブヤハズカミキリ生息地」がある。

 新たな自然公園指定地の景観は、黒蔵谷生物群集や大塔山モミ・ツガ・ブナ希少個体群、大塔山照葉樹林希少個体群の保護林などで形成されている。安川渓谷や前ノ川渓谷、修験ノ滝などの特徴的な地形もある。