和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年02月24日(月)

色鮮やかなガ 県内初確認 キオビエダシャク、和歌山県田辺の会津小児童が捕獲

県内初確認されたキオビエダシャク(和歌山県田辺市内で)
県内初確認されたキオビエダシャク(和歌山県田辺市内で)
 東南アジア原産のガ「キオビエダシャク」が、和歌山県内で初めて確認された。濃紺の羽に黄色の帯が鮮やかだが、庭木を食い荒らす害虫。捕まえた田辺市会津小学校5年の赤嶋杏亮君は、県立自然博物館(海南市)の松野茂富学芸員とともに専門誌「月刊むし」に投稿し、1月号に掲載された。これまで追加の個体の発見はなく、繁殖は確認されていないが、松野学芸員は今後注視が必要と指摘している。


 キオビエダシャクは、台湾から九州南部に分布するが、温暖化の影響で近年エリアが拡大している。2023年には高知県で発見された。しばしば大発生し、生け垣や防風垣として利用されているイヌマキを食害するため、宮崎県や鹿児島県では害虫として注意喚起している。

 赤嶋君は昨年6月に由良町の白崎海洋公園を訪れた際、日中に地面に落下している状態で発見した。飛ぶのが不可能なほど弱っていた。22年に沖縄本島でキオビエダシャクを捕まえたことがあり、すぐに分かったという。

 採集日は風が強く、付近にはイヌマキなどマキ科の植物が見当たらないため、強風で飛ばされ、弱って墜落したとみられる。

 赤嶋君は図鑑で南方のガであることを確認し、県立自然博物館に問い合わせると、県内初確認で、きちんとした形で発表した方がよいと勧められた。専門誌への投稿は初めてだったが、松野学芸員の助言を受け、自身で報告書を書き上げた。

 赤嶋君は「大変だったけれど、いい経験になった。雑誌に載っているのを見た時はうれしかった。機会があればまた挑戦したい」と話している。

 休日のたびに虫捕り網を手に公園や河原に出かけ、チョウやトンボを捕まえては標本にしている。「春には石垣島に行く予定で、ツマベニチョウやオオゴマダラなどを捕まえたい」と目を輝かせた。