2025年新年社長メッセージ
株式会社商船三井
~経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase 1の総仕上げへ~
株式会社商船三井社長 橋本剛は1月6日に商船三井グループの全役職員に向けての年頭挨拶を行いました。
商船三井グループの皆さん、明けましておめでとうございます。年頭にあたり私の所感を皆さんにお伝えします。
2024年を振り返って
当社グループの2024年を振り返りますと、地政学リスクの高まりによって多くの商船が紅海・スエズ運河を迂回したことなどを背景として、ケミカル船・自動車船・コンテナ船事業が好調な市況を享受しました。また、円安の継続もあり、業績は期初の想定を大きく上回る水準で推移しています。一方、米国新政権と中国の関係、ロシア・ウクライナ戦争の長期化など、様々な潜在的リスクが残っていますので、今の内に好調な部門で利益を創出して体力を蓄えると共に、インテリジェンス、意思決定の仕組み、人財力などを強化することで、不確実性が高い今後の事業環境に備えていきたいと考えています。環境が厳しくなるほど、事業継続が難しくなる会社も出てきますが、厳しい環境を乗り越えることでより強い商船三井グループになれるものと確信しています。
2035年をゴールとするグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」のPhase 1(2023~2025年度)は、昨年10月に折り返し地点を迎え、後半に入りました。好調な業績を背景に自己資本を2.6兆円超積み増せたことは非常に心強いですし、将来の成長に向けた投資も順調に進みました。LNG関連、風力発電関係、ケミカル船、自動車船、不動産事業などでは新たな取り組みを取り入れ進化していますし、従来の発想に囚われず、事業環境の変化に対応して、大胆に変革を進めてほしいと思います。
2025年の展望
2025年は「BLUE ACTION 2035」 Phase 1の最終年度となり、2026年度から始まるPhase 2の詳細を設計していく大変重要な1年になります。当社グループの資産規模は既に4兆円を超え、ここからは急拡大するステージではなくなっていくでしょう。その中でも成長を続けるためには、強い部門をより強く、世界の中で競争優位に立てる事業領域を少しでも増やしていくことが必要です。必ずしも事業全体で一位になる事が出来ずとも、特定の分野で、もしくは特定の地域でトップというものを積み上げていきたい。漫然と既存のビジネスを継続していくのではなく、勝ち筋を見極めて、そこに人財や資金などの経営資源を投入していきます。
また、株主還元を積み増していく必要があることも考えると、毎年2,000~3,000億円の利益を得たとしても、自己資本は1,000~1,500億円程度しか積み上がらない状況になっていきます。効率よく利益を積み重ねていくためには、資産の売却や入れ替えも重要になります。単なる事業拡大にとどまらない、より多様な戦術が求められるでしょう。
さらなる成長のためには、人財ポートフォリオの強化も大きな課題です。当社は伝統的にオペレーションフェイズに入ったものを安全に上手に回していくことが得意です。そういった領域で活躍できる人財は豊富なものの、新しく事業を始める、既存の事業を作り変える、といったことができる人財、いわばハンターマインドを持った人をもう少し増やす必要があると感じています。欧米のオイルメジャーなどを見ていると人財配置を大変うまくやっていて、自分たちが特定の事業領域において「開拓→立ち上げ→守り・育てる」のどのステージにいるのか的確に判断した上で、適切な人財を割り当てているようです。
当社では2025年度に人事制度改革を予定していますが、一度で完璧に機能するものができるとは考えておらず、導入後も必要な手直しを続けながら、2~3年程度かけて理想形に近づけたいと考えています。現状、海外拠点とグループ会社は基本的に個別最適を目指して運営されており、本人にとっても会社にとってもその能力を最大限には活かしきれていない面があります。将来的には、幹部人材が本社からグループ会社に異動するだけでなく、グループ会社から本社へ、あるいはグループ会社間で横異動も出来るような、柔軟な人事制度運用によって全体最適の実現を目指していきます。
これらの改革を通じて、コーポレート部門の強化も成し遂げたいと考えています。これまでコーポレート部門は主としてビジネスのサポート役を期待されてきましたが、今後はむしろ営業部門や各地域の成長を引っ張っていく司令塔のような、存在になって欲しいと考えています。
当社グループの主要な経営課題でもある地球環境問題に目を転じると、世界から2021年のグラスゴー合意の頃にあった熱気はすっかり薄らぎ、水素、バイオ燃料などグリーン燃料が急速に普及して化石燃料に置き換わる、というシナリオは描きにくくなってきています。一方で、気候変動問題自体は全く解決していないので、当社グループとしては、地味であっても省エネ、運航効率改善といった実績がありかつ実行可能な、小さな努力を代替燃料の活用と組み合わせ対応していく必要があります。当社はファーストムーバーズの一員である事を標榜していますが、先行することを求めるあまり突出して後ろが続いてこないようなやり方ではだめで、志を同じくするパートナーとともに“ムーバーズ”となってトレンドを作り出していく必要があります。そうした取り組みを通じて、鉄鋼業界、電力業界、自動車業界、資源メジャー、オイルメジャーをはじめとした大手顧客のニーズに応えていきたいと思います。
経済のグローバル化や情報伝達の目覚ましい発展の結果、当社グループのみならず多くの産業セクターは大きな変革期にいます。社員個々人にとっては、期待されるアウトプットのレベルが上昇し、過去の働き方を懐かしむ方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、企業として事業を営む以上、成長を続け、利益水準や株価が上昇し、株主への配当や役職員への報酬額も改善を続けていく姿を目指すべきであり、その為にはより的確で実効性の高い経営計画を遂行していくべきものであります。
最後に
今年4~10月には、大阪で万博が開催されます。当社は「未来の都市」パビリオンの「交通・モビリティ」ゾーンにおいて、風を捉えて水素を製造、運搬する次世代のゼロエミッション船「ウインドハンター」を展示しますが、この機会は大阪にもルーツを持つ当社グループにとって、特に意義深いものです。万博を通じて当社の存在感をさらに高め、インバウンドに沸き立つ大阪の活力をフォローウインドのひとつとして、当社グループのさらなる発展に結び付けられたら、と思います。
最後になりますが、商船三井グループの全運航船および全ての現場の無事故を願い、全世界の商船三井グループの皆さんとご家族のご健康とご多幸を祈念して、新年の挨拶と致します。
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~経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase 1の総仕上げへ~
株式会社商船三井社長 橋本剛は1月6日に商船三井グループの全役職員に向けての年頭挨拶を行いました。
商船三井グループの皆さん、明けましておめでとうございます。年頭にあたり私の所感を皆さんにお伝えします。
2024年を振り返って
当社グループの2024年を振り返りますと、地政学リスクの高まりによって多くの商船が紅海・スエズ運河を迂回したことなどを背景として、ケミカル船・自動車船・コンテナ船事業が好調な市況を享受しました。また、円安の継続もあり、業績は期初の想定を大きく上回る水準で推移しています。一方、米国新政権と中国の関係、ロシア・ウクライナ戦争の長期化など、様々な潜在的リスクが残っていますので、今の内に好調な部門で利益を創出して体力を蓄えると共に、インテリジェンス、意思決定の仕組み、人財力などを強化することで、不確実性が高い今後の事業環境に備えていきたいと考えています。環境が厳しくなるほど、事業継続が難しくなる会社も出てきますが、厳しい環境を乗り越えることでより強い商船三井グループになれるものと確信しています。
2035年をゴールとするグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」のPhase 1(2023~2025年度)は、昨年10月に折り返し地点を迎え、後半に入りました。好調な業績を背景に自己資本を2.6兆円超積み増せたことは非常に心強いですし、将来の成長に向けた投資も順調に進みました。LNG関連、風力発電関係、ケミカル船、自動車船、不動産事業などでは新たな取り組みを取り入れ進化していますし、従来の発想に囚われず、事業環境の変化に対応して、大胆に変革を進めてほしいと思います。
2025年の展望
2025年は「BLUE ACTION 2035」 Phase 1の最終年度となり、2026年度から始まるPhase 2の詳細を設計していく大変重要な1年になります。当社グループの資産規模は既に4兆円を超え、ここからは急拡大するステージではなくなっていくでしょう。その中でも成長を続けるためには、強い部門をより強く、世界の中で競争優位に立てる事業領域を少しでも増やしていくことが必要です。必ずしも事業全体で一位になる事が出来ずとも、特定の分野で、もしくは特定の地域でトップというものを積み上げていきたい。漫然と既存のビジネスを継続していくのではなく、勝ち筋を見極めて、そこに人財や資金などの経営資源を投入していきます。
また、株主還元を積み増していく必要があることも考えると、毎年2,000~3,000億円の利益を得たとしても、自己資本は1,000~1,500億円程度しか積み上がらない状況になっていきます。効率よく利益を積み重ねていくためには、資産の売却や入れ替えも重要になります。単なる事業拡大にとどまらない、より多様な戦術が求められるでしょう。
さらなる成長のためには、人財ポートフォリオの強化も大きな課題です。当社は伝統的にオペレーションフェイズに入ったものを安全に上手に回していくことが得意です。そういった領域で活躍できる人財は豊富なものの、新しく事業を始める、既存の事業を作り変える、といったことができる人財、いわばハンターマインドを持った人をもう少し増やす必要があると感じています。欧米のオイルメジャーなどを見ていると人財配置を大変うまくやっていて、自分たちが特定の事業領域において「開拓→立ち上げ→守り・育てる」のどのステージにいるのか的確に判断した上で、適切な人財を割り当てているようです。
当社では2025年度に人事制度改革を予定していますが、一度で完璧に機能するものができるとは考えておらず、導入後も必要な手直しを続けながら、2~3年程度かけて理想形に近づけたいと考えています。現状、海外拠点とグループ会社は基本的に個別最適を目指して運営されており、本人にとっても会社にとってもその能力を最大限には活かしきれていない面があります。将来的には、幹部人材が本社からグループ会社に異動するだけでなく、グループ会社から本社へ、あるいはグループ会社間で横異動も出来るような、柔軟な人事制度運用によって全体最適の実現を目指していきます。
これらの改革を通じて、コーポレート部門の強化も成し遂げたいと考えています。これまでコーポレート部門は主としてビジネスのサポート役を期待されてきましたが、今後はむしろ営業部門や各地域の成長を引っ張っていく司令塔のような、存在になって欲しいと考えています。
当社グループの主要な経営課題でもある地球環境問題に目を転じると、世界から2021年のグラスゴー合意の頃にあった熱気はすっかり薄らぎ、水素、バイオ燃料などグリーン燃料が急速に普及して化石燃料に置き換わる、というシナリオは描きにくくなってきています。一方で、気候変動問題自体は全く解決していないので、当社グループとしては、地味であっても省エネ、運航効率改善といった実績がありかつ実行可能な、小さな努力を代替燃料の活用と組み合わせ対応していく必要があります。当社はファーストムーバーズの一員である事を標榜していますが、先行することを求めるあまり突出して後ろが続いてこないようなやり方ではだめで、志を同じくするパートナーとともに“ムーバーズ”となってトレンドを作り出していく必要があります。そうした取り組みを通じて、鉄鋼業界、電力業界、自動車業界、資源メジャー、オイルメジャーをはじめとした大手顧客のニーズに応えていきたいと思います。
経済のグローバル化や情報伝達の目覚ましい発展の結果、当社グループのみならず多くの産業セクターは大きな変革期にいます。社員個々人にとっては、期待されるアウトプットのレベルが上昇し、過去の働き方を懐かしむ方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、企業として事業を営む以上、成長を続け、利益水準や株価が上昇し、株主への配当や役職員への報酬額も改善を続けていく姿を目指すべきであり、その為にはより的確で実効性の高い経営計画を遂行していくべきものであります。
最後に
今年4~10月には、大阪で万博が開催されます。当社は「未来の都市」パビリオンの「交通・モビリティ」ゾーンにおいて、風を捉えて水素を製造、運搬する次世代のゼロエミッション船「ウインドハンター」を展示しますが、この機会は大阪にもルーツを持つ当社グループにとって、特に意義深いものです。万博を通じて当社の存在感をさらに高め、インバウンドに沸き立つ大阪の活力をフォローウインドのひとつとして、当社グループのさらなる発展に結び付けられたら、と思います。
最後になりますが、商船三井グループの全運航船および全ての現場の無事故を願い、全世界の商船三井グループの皆さんとご家族のご健康とご多幸を祈念して、新年の挨拶と致します。
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