和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

「カスミ」改め「セトウチ」 サンショウウオが産卵

産み付けられた卵嚢と雌を待つセトウチサンショウウオの雄(田辺市で)
産み付けられた卵嚢と雌を待つセトウチサンショウウオの雄(田辺市で)
 紀南の水辺で、環境省と県の絶滅危惧種に分類されている両生類セトウチサンショウウオ(サンショウウオ科)が産卵している。昨年、カスミサンショウウオは1種だったものが9種に細分化され、紀南に生息するものはセトウチと名付けられた。

 田辺市の吉野熊野国立公園内の水たまりにも、コイル状やバナナ状の卵嚢(らんのう)がいくつも産み付けられている。産卵は2月末ごろまで続くとみられ、卵嚢の近くでは新たな雌を待つ雄の姿が見られる。

 セトウチサンショウウオは全長10センチ前後。山陽地方東部や四国東部、紀伊半島の平地や丘陵地に分布し、主に農耕地や水辺周辺の雑木林に生息する。環境省のレッドリストと県のレッドデータブックではカスミサンショウウオとして絶滅危惧2類に分類されている。県内には紀ノ川を挟んで北側にヤマトサンショウウオが生息している。

 県立自然博物館学芸員によると、近年、産卵場所となる浅い水辺が開発でなくなったり、陸地化が進んだりして、生息場所が激減しているという。「サンショウウオを見つけても持ち帰ったりせずに、静かに見守ってほしい」と呼び掛けている。