和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月08日(金)

「初対面で100万円もらった」 ドン・ファン殺害 被告人質問始まる

和歌山地裁
和歌山地裁
 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77歳)を殺害したとして、殺人罪などに問われている元妻の須藤早貴被告(28)の第19回公判が8日、和歌山地裁であり、被告人質問が始まった。須藤被告は、野崎さんと初めて会った日に「結婚してください」と言われ、帯付きの100万円を受け取ったと語った。

 須藤被告は、野崎さんと初めて会ったのが2017年12月10日と説明。野崎さんはきょうだい仲が悪かったとして「『遺産がきょうだいに行くのが嫌だから君にもらってほしい』と言われた」と述べた。

 後日、結婚について「田辺は田舎だから『こんなところには住めません』と言ったら、『月に1週間か10日くらい来てくれれば良い』と言われた」と語った。このほか、野崎さんは「女関係に文句を言ってくるな」とも言ったという。

 須藤被告は終始、野崎さんのことを「社長」と呼んで質問に答えた。

■「売ったのは氷砂糖」売人男性が証言

 7日には第18回公判があった。違法薬物の密売人だった男性が証人として出廷し、須藤被告に売ったのは「覚醒剤ではなく氷砂糖だった」と述べた。

 男性と一緒に活動していた別の売人の男性は10月の第7回公判に証人として出廷し、「本物だと確認して(須藤被告に)渡した」という趣旨の話をしており、2人の証言の内容が一部で食い違う形になった。

 起訴状によると、須藤被告は18年5月24日、殺意を持って、野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ、急性覚醒剤中毒で殺害したとされる。須藤被告は9月の初公判で起訴内容を否認し、弁護側は無罪を主張している。弁護人は初公判で「怪しいというだけで処罰することは許されない」などと述べていた。