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2024年12月31日(火)

【岡山大学】血漿タンパクアンチトロンビンのターゲット受容体を発見~血漿タンパク学に新しい展開~

国立大学法人岡山大学

2024(令和6)年 10月 10日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/




<発表のポイント>
アンチトロンビンの細胞形質膜受容体を、革新的方法を用いて新規に同定しました。

同定されたCLEC1A受容体刺激により、アンチトロンビンはヒト好中球を強く制御しました。

アンチトロンビン-CLEC1A系は、アンチトロンビンの抗炎症作用に関与していることを明らかにしました。

本研究結果により、血漿タンパク学に新しい展開が生まれることが期待されます。




◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院医歯薬学域 創薬研究推進室・西堀正洋教授(特任)/特命教授、同学域 細胞生物学・阪口政清教授、同学域 創薬研究推進室・高橋陽平客員研究員の研究グループは、抗炎症作用を有する血漿タンパクであるアンチトロンビンの特異的受容体として、C-type lectin family 1A(CLEC1A)を同定しました。

 アンチトロンビンは、トロンビン活性の直接抑制による抗凝固作用がよく知られていますが、ヒト好中球細胞上のCLEC1Aを刺激することで好中球の形態を表面円滑な正球形に変化させ、機能的には好中球の細胞死を抑制するとともに、活性酸素分子種(ROS)の産生を抑制することを明らかにしました。

 このようなアンチトロンビンの作用は、トロンビン活性の抑制による抗凝固作用とは無関係であり、すでに臨床で使用されているアンチトロンビン製剤の抗炎症作用に関与している可能性があります。今回用いられた受容体の同定法は、阪口教授らの研究グループが独自に開発した革新性の極めて高いスクリーニング法です(Gao et al., iScience, 2020; Takahashi et al., J Immunol, 2021)。

 本研究成果は、2024年10月8日、国際専門雑誌Blood, Vessels, Thrombosis & Hemostasis (Blood, VTH) にOnline掲載されました。同研究グループによる血漿タンパクHistidine-rich glycoprotein(HRG)に関する先行研究と合わせて、本研究は血漿タンパク群の全く新しい機能的役割と作用機序を強く示唆するものであり、血漿タンパク学に新しい展開をもたらすと期待されます。


ヒト好中球のアンチトロンビンによる形態変化(走査電子顕微鏡写真)



◆西堀正洋教授(特任)・特命教授からのひとこと
 3年前に定年退職した後、「特任」「特命」の職名をいただき、若い優秀な研究者と議論しながら、鋭意研究を続けております。

西堀正洋教授(特任)・特命教授


◆論文情報
 論 文 名:Antithrombin regulates neutrophil activities through the stimulation of C-type lectin family 1A
 掲 載 紙:Blood, Vessels, Thrombosis & Hemostasis (Blood, VTH)
 著  者:Takahashi Y, Htwe SS, Wang D, Wake H, Yata M, Tomonobu N, Kinoshita R, Sakaguchi M, Nishibori M.
 D O I:10.1016/j.bvth.2024.100032
 U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2950327224000329?via=ihub


◆研究資金
本研究は、以下の支援を受けて実施しました。
・国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)創薬基盤推進研究事業 JP24ak0101204 研究開発代表者 西堀正洋
・一般社団法人日本血液製剤機構共同研究費


◆詳しい研究内容について
 血漿タンパクアンチトロンビンのターゲット受容体を発見~血漿タンパク学に新しい展開~
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241010-1.pdf


◆参 考
・岡山大学 学術研究院 医歯薬学域 創薬研究推進室
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/translre/
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
 https://www.mdps.okayama-u.ac.jp/


◆参考情報
・【岡山大学】アナフィラキシー反応のメディエータ物質であるヒスタミンは、血管内皮細胞からHMGB1を放出し症状を増悪する
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000942.000072793.html
・【岡山大学】ヒト化抗HMGB1抗体を用いて脳出血治療の新しいターゲットを発見
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000912.000072793.html



岡山大学鹿田キャンパス(岡山市北区)


◆本件お問い合わせ先
 岡山大学 学術研究院 医歯薬学域 教授(特任)/特命教授 西堀正洋
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
 TEL:086-235-7393
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/translre/

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
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 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
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 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html


国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html


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