酪農学園大学 臼井 教授、全酪連 岡村獣医師らの研究グループが、携帯型シークエンサー(nanopore sequencer)を活用することで、牛呼吸器症候群の原因となる細菌をその日のうちに判定できる方法を開発。
研究成果のポイント
・牛呼吸器症候群は子牛(乳用・肉用)病傷事故の約4割を占め、畜産現場に甚大な被害
・牛呼吸器症候群は、複数種の細菌やウイルスが複合感染していることが多く、経験的な抗菌薬での治療が行われることが多い
・原因となっている細菌をすぐに判定することで、より有効な抗菌薬による治療が可能
・従来の細菌培養法では細菌を判定するまでの時間が1日は必要だったが、携帯型シークエンサーの活用で6時間程度にまで短縮
・携帯型の機器なので応用しやすく、畜産現場での活用が期待される
研究成果の概要
酪農学園大学 臼井 教授、全酪連 岡村獣医師らの研究グループは、携帯型シークエンサー(nanopore sequencer)を活用することで、牛呼吸器症候群の原因となる細菌をその日のうちに判定できる方法を開発しました。
牛呼吸器症候群は、子牛(乳用・肉用)病傷事故の約4割を占めており、畜産現場に甚大な被害を起こしています。細菌感染を原因とする牛呼吸器症候群の治療には、抗菌薬が使用されますが、適切な抗菌薬の使用のためには、一刻も早い原因細菌の発見が必要です。従来より、細菌を培養することで検査が実施されておりましたが、原因細菌の判定には少なくとも1日かかるため、多くの場合、経験的な治療が実行されてきました。そのため、畜産現場からは、その日のうちに原因細菌を判定できる迅速な検査法の開発が求められていました。
そこで今回、簡易かつ安価な携帯型シークエンサーを用いた原因細菌の判定法の開発を行いました。結果、6時間程度で、牛呼吸器症候群の原因となる細菌を正確に判定する方法が確立されました。これにより、検査を開始したその日のうちに、原因細菌に効果のある抗菌薬での治療に反映することが可能になりました。
開発された方法が普及することで、牛呼吸器症候群に苦しむ子牛(乳用・肉用)や畜産農家の助けになることが期待されます。
論文発表の概要
Okamura S, Fukuda A, Usui M*. Rapid detection of causative bacteria including multiple infections of bovine respiratory disease using 16S rRNA amplicon-based nanopore sequencing. Vet Res Commun. 2024. In press.
https://doi.org/10.1007/s11259-024-10556-0
▼本件に関する問い合わせ先
獣医学群 獣医学類
教授 臼井 優
住所:〒069-8501 江別市文京台緑町582番地
TEL:011-388-4723
メール:usuima@rakuno.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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