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2024年11月25日(月)

【動画】よみがえりの物語熱演 本宮大社本殿前で小栗判官の劇、和歌山県田辺市

国の重要文化財である熊野本宮大社の本殿前で奉納上演された音楽祝祭劇「おぐりとてるて」(15日、和歌山県田辺市本宮町で)
国の重要文化財である熊野本宮大社の本殿前で奉納上演された音楽祝祭劇「おぐりとてるて」(15日、和歌山県田辺市本宮町で)
 和歌山県田辺市本宮町の世界遺産・熊野本宮大社で15日、音楽祝祭劇「おぐりとてるて」が奉納上演された。7月に迎えた世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年を記念し、国の重要文化財でもある本殿前に舞台を設けて開催。大勢が訪れ、熊野本宮で再生した小栗判官と照手姫の物語に見入った。

 音楽祝祭劇は、一般社団法人「アトリエ花習」代表理事の笠井賢一さん(75)=東京都=が代表を務める実行委員会が主催。笠井さんは20年前の世界遺産登録の際、小栗判官の物語をテーマにした記念イベントを旧社地・大斎原(おおゆのはら)で企画した経緯があることから、今回の奉納上演が実現した。

 この劇は、小栗判官と照手姫との別離と再会の恋物語。毒殺されて地獄に落ちた小栗判官は閻魔(えんま)大王の計らいで餓鬼阿弥として蘇生し、再生のため熊野本宮にある湯の峰温泉を目指した。土車に乗せられた小栗判官は、照手姫をはじめ、多くの人の力添えで熊野本宮に到着。元の姿に戻って熊野権現から金剛杖(こんごうづえ)をもらい、照手姫との再会を果たす。

 この日は高野山で活動している高野和太鼓童(わらべ)DONKAKAと地元の奥熊野太鼓が演奏を披露した後、日が暮れゆく幻想的な雰囲気の中で劇が上演された。小栗判官役を俳優の國府田達也さん、照手姫役は天野弘愛さんが務め、地元の劇団たなべ座と三里劇団のメンバー、九鬼家隆宮司も舞台に上った。

 構成・演出を担当した笠井さんは「皆で小栗判官を乗せた土車を引いて熊野本宮を目指したように、人と人とをつなぐ力を感じていただければ」と話していた。