和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月23日(水)

「読解力が付いた」 4校が取り組み発表、和歌山県中高NIEセミナー

NIEの実践発表について質問に答える教員4人(和歌山市で)
NIEの実践発表について質問に答える教員4人(和歌山市で)
 和歌山県中高NIE実践セミナー(県NIE推進協議会主催、紀伊民報など後援)が、和歌山市の向陽中・高校であり、日本新聞協会による昨年度の実践指定校4校の教員が発表した。取り組みを通じ、生徒から「新聞が身近になり情報の幅を広げられるようになった」「読解力が付いた」「考えを書く力が付いた」などの声が聞かれたという。


 向陽中の貴志佳永子さんは、毎年、元旦号の各紙のコラムを読み比べて、クラスやグループで意見交換してベストコラムを選んだり、100字に要約したりしていることを発表。各紙の1面記事を比較する取り組みでは、同じニュースでも、各新聞社が報じる内容を取捨選択していることなどを生徒は学んだという。

 加太中(和歌山市)の鍬﨑奈月さんは、社会科の授業で生徒に身近な内容や、授業で扱った項目に関連する新聞記事を基に、意見交換したという。1年間の思い出をテーマにした新聞記事を作ったり、1、2年生が関心を持った記事の感想を書いて3年生が添削したりといった取り組みも話した。

 橋本中央中(橋本市)の島田凌弘さんは、レジャー施設からの報道機関向け発表資料を基に、生徒が新聞記事を作り、同じ内容でも書き手によって違う記事になることを確認したという。また各新聞で同じ内容を扱った記事を比較したり、低下していると言われる読解力向上に向け、新聞記事を活用した問題を解いたりしていることも紹介した。

 和歌山東高(和歌山市)の垣内望さんは、10年ほど前から、登校後の10分間を、新聞記事を基に教員が作成したプリント学習などに当て「教養基礎」の授業として単位認定していると報告した。また毎年、日本新聞協会主催の「新聞コンクール」に応募。これに向け、記事を選択し感想を書いたり、意見交換したりして提言を考える取り組みをしているという。



 この日は、兵庫県NIE推進協議会の事務局長で、神戸新聞の記者として阪神・淡路大震災(1995年)を取材した三好正文さんの基調提言「阪神・淡路大震災29年」や「防災・減災とこれからのNIE」をテーマにしたシンポジウムもあった。(一部既報)