和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月25日(水)

「新聞から災害の教訓を」 防災・減災とNIEについてシンポジウム、和歌山

NIE実践セミナーで「防災・減災とこれからのNIE」について討論する登壇者(30日、和歌山市で)
NIE実践セミナーで「防災・減災とこれからのNIE」について討論する登壇者(30日、和歌山市で)
 和歌山県内の教員らを対象にした、NIE(教育に新聞を)の実践セミナーが30日、和歌山市であった。防災・減災とNIEについてのシンポジウムでは「新聞から災害の教訓を学んでほしい」などと話し合われた。

 県NIE推進協議会が主催、紀伊民報など後援。兵庫県NIE推進協議会の事務局長で、神戸新聞記者として阪神・淡路大震災(1995年)を取材した三好正文さんが、同震災について話した後、「防災・減災とこれからのNIE」をテーマにしたシンポジウムがあった。三好さんと、此松昌彦・和歌山大学教授、紀伊民報の川本敦史編集局長が登壇。和歌山県NIE推進協議会会長の船越勝・和歌山大学教授が司会した。

 三好さんは「阪神・淡路大震災で被災した新聞社として、災害の文化(災害からの教訓や考え方)を発信していくことが求められている」と強調。大災害発生時に一人でも多くの命を助けることが新聞の役割だとし「NIEを通じ小中高校生に伝えていくことが大事だ」と話した。

 此松教授は大手新聞社の協力で、東日本大震災の報道写真を使った防災研修用のDVDを作成した取り組みを紹介。「まず感じてもらうことが大事。災害に備えないといけないという動機付けになり防災教育につながる」とした。また「地元紙には(災害について)教訓になることがたくさん詰まっている」ともいい、新聞は記録になる役割も大きいとも述べた。

 川本編集局長は「自分たちが住む地域で過去にどんな災害や被害があったのか、特に地元紙に詳しく載っている」と話した。災害時に中高生の力が期待されているとし「何を準備し、どういう行動を取るべきかなど、過去の災害から学んでほしい。その教材として、新聞を用いてもらいたい」と呼びかけた。

 セミナーには教員ら約30人が参加した。

 この日は、他にNIE実践報告として県内の中学校3校と高校1校の教員がそれぞれの取り組みを発表した。