和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月26日(火)

シンボルのシオマネキ激減 和歌山県田辺市の内之浦干潟

小さなはさみで泥を口に運ぶシオマネキの雄(和歌山県田辺市新庄町で)
小さなはさみで泥を口に運ぶシオマネキの雄(和歌山県田辺市新庄町で)
両方のはさみが小さいシオマネキの雌(和歌山県田辺市新庄町で)
両方のはさみが小さいシオマネキの雌(和歌山県田辺市新庄町で)
 和歌山県田辺市新庄町にある内之浦干潟親水公園で、シンボルになっているスナガニの仲間シオマネキが激減している。確認できる個体が年々減少、今は数ペアが細々と生息していると推測されている。県のレッドデータブックでは絶滅の次にランクが高い絶滅危惧1類に選定されている。


 シオマネキは甲幅4センチほどになる国内に生息するシオマネキ類では最大種。雄のはさみの左右どちらかが大きいのが特徴。

 内之浦干潟親水公園では欄干に姿が描かれたり、過去の大地震で押し寄せた津波の高さを示すモニュメントがはさみのような形になっていたりする。かつてはあちらこちらで見られたが、近年、干潟の環境が悪化の一途をたどっており、限られた場所でしか見られなくなった。

 県レッドデータブックによると、紀南でシオマネキの確認記録があるのは田辺湾と富田川だが、富田川では近年一匹も見つかっていない。県内で最も多いとされる紀ノ川河口域では、国土交通省が1998年から定期的に生息数調査をしている。推定生息数は100~700匹を上下していたが、2015年からは100匹を下回っているという。



 シオマネキは潮が引くと穴から出てきて、小さいはさみを使って泥を口に運んでこし取って食べる。雄はウエービングと呼ばれる大きなはさみを振り上げる行動をする。雌が近づくとその動きは激しくなる。和名は、大きなはさみを動かす姿が潮を招いているように見えることに由来するという。