和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月13日(金)

迂回路修繕に住民ら 和歌山・大辺路「安居の渡し」

迂回路にヒノキ材を使った階段を設置する地元有志(和歌山県白浜町安居で)
迂回路にヒノキ材を使った階段を設置する地元有志(和歌山県白浜町安居で)
 「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を前に、地元の有志が13、14日、和歌山県白浜町安居の熊野古道大辺路にある「安居の渡し」の迂回(うかい)路を修繕した。延べ約30人が階段の設置作業などに汗を流し、観光客を受け入れる態勢を整えた。5月中の完了を目指す。


 作業に参加したのは、熊野古道大辺路刈り開き隊、ひきがわ歴史クラブ、大辺路長井坂クラブ、ヤタガラスプロジェクツの4団体に所属する有志。

 足を滑らせる危険がある急な斜面にヒノキ材の階段を設置したり、川に転落する恐れがある道沿いに鉄筋を打ち込んでロープの手すりを設置したりした。

 「安居の渡し」は大辺路の「富田坂」と「仏坂」の間にある日置川を川舟で渡る。船頭の高齢化や資金難などを理由に一時休止していたが、今年2月、約1年ぶりに復活した。

 ただ、運航するのは土日曜と祝日の午前9時~10時と午後1時半~2時半となっているため、運航のない日や時間帯に訪れた人たちへの対応が課題になっている。

 迂回路はあるものの危険箇所があるため、積極的に観光客を案内することができない状態が続いている。そのことを知った有志たちが「登録20周年の年に一人でも多くの人に大辺路を歩いてもらいたい」とボランティアで修繕することにした。修繕費は各団体で持ち寄っているという。

 現在、修繕中の迂回路は、日置川を舟ではなく「安居の渡し」の下流にある口ケ谷橋(白浜町口ケ谷)を通って渡る。日置川沿いの山道約3・5キロ。

 その他にも迂回路はあるが、この道が最も距離が短く、安全という。

 刈り開き隊の上野一夫隊長(75)は「修繕には10日ぐらいはかかりそう。天候にもよるが、5月中には終わらせたい」と話した。

 地元船頭らでつくる「安居の渡し保存会」の生本洋三会長(74)は「川の増水で舟が運航ができない時に困っていた。修繕が終われば、安心して迂回路を観光客に紹介できるのでありがたい」と感謝していた。