和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月11日(金)

平時の在庫で物資確保 災害対策でエバグリーンと契約、和歌山・上富田

物資の確保と提供に関する契約を締結した、エバグリーン廣甚の米原まき社長(左)と上富田町の奥田誠町長=8日、和歌山県上富田町朝来で
物資の確保と提供に関する契約を締結した、エバグリーン廣甚の米原まき社長(左)と上富田町の奥田誠町長=8日、和歌山県上富田町朝来で
 災害への備えを強化するため和歌山県上富田町はこのほど、スーパーエバグリーン上富田店を運営する「エバグリーン廣甚」(湯浅町)と、物資の確保と提供に関する契約を結んだ。新たな備蓄方式として、平時は同店の在庫で物資を販売しながら一定量を確保し、災害発生時に提供してもらう。

 上富田町によると、町によるこれまでの備蓄方式では、保管スペースの確保や在庫を確認する事務負担、使用期限に伴う費用の負担が大きいという課題があった。

 そこで、同社の協力を得て、今回新たな備蓄方式を導入した。あらかじめ決めた品目と数量を同店の流通在庫で確保してもらうことで、事務作業の負担を軽減し、保管スペースも削減。平時は売買予約権利金として月額3400円(税別)、提供時には権利金とは別に物資の購入代金を支払う。災害が起こらず10年間備蓄を続けた場合を比較すると、試算では年間約13万円の経費を削減できる見込み。

 同店で確保してもらう品目は、飲料水2160リットル、生理用ナプキン3600枚、トイレットペーパー576ロール、子ども用と大人用のおむつ3216枚。今後運用していく中で、食料品などの品目を加えることも検討している。

 8日にあった調印式で、奥田誠町長は「契約を締結でき、大変心強く感じている。今後も連携を図りながら、災害対策を進めていきたい」と述べた。

 また、エバグリーン廣甚の米原まき社長は能登半島地震といった災害に触れ、「生活のインフラを担っていこうということを企業の理念として掲げており、会社で何ができるのかを日々考える機会が増えた。自治体と我々民間が協力し合うことは、災害時にはすごく大事なこと。町民の皆さんのお役に立てることに協力でき、本当にうれしく思う」と話した。

 上富田町によると、今回の新たな備蓄方式は、防災備蓄プラットフォームを提供する企業「milab(ミラボ)」(東京都)から提案があり、実現したという。