和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

「小栗判官」よみがえりを演劇で 世界遺産20周年、熊野本宮大社・大斎原で奉納上演、和歌山

会合であいさつする泉美也子代表(和歌山県田辺市稲成町で)
会合であいさつする泉美也子代表(和歌山県田辺市稲成町で)
 和歌山県田辺市を拠点に活動する劇団「たなべ座」が5月11日、演劇「小栗判官ものがたり」を世界遺産熊野本宮大社の旧社地、大斎原(おおゆのはら)=田辺市本宮町=で上演する。本宮町の住民有志の協力も得て、熊野のよみがえりにまつわる物語を聖地で奉納する。

 「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念した企画。大斎原で上演することで、改めて熊野の精神性や風土を多くの人に再認識してもらい、地域振興や文化継承につなげる狙いがある。

 演劇は熊野がつなぐ小栗と照手姫のラブストーリー。謀略で毒殺された小栗が餓鬼の姿でこの世に戻され、険しい熊野の道を多くの人の情けによって運ばれた末、本宮町の湯の峰温泉で蘇生するまでを描く。昨年1月に紀南文化会館(田辺市新屋敷町)でミュージカル版を上演した。

 公演に向けたオリエンテーションが2月下旬、稲成公民館(同市稲成町)であり、出演者やスタッフが顔合わせした。出演者は10~60代まで幅広く、演劇経験者も初心者も入り交じっている。

 ヒロインの照手姫を務めるのは神島高校3年の水野夢さん。中学時代にラジオドラマ「清姫のなみだ」で、清姫役を演じたことがある。しばらく劇団から離れていたが、復帰後いきなり大役を任された。

 「ラジオドラマの清姫はおてんばだったけど、照手姫は大人の印象で私には合っている。初めて立つ舞台が聖地の大斎原で緊張するが、演劇は大好きなのでしっかり役作りして臨みたい」と話している。

 脚本を手がけた市民劇団KCM(海南市)の東道さんは「長く演劇に関わっているが、本宮の聖地で上演できるのは特別。力を合わせ、いい演劇をつくりたい」と話す。

 KIGA熊野・高野国際語り部の会代表でもある。「虐げられた人々に手を差し伸べる熊野の心を次代に伝えたい。今回は子どもの参加も多く、その一歩になればうれしい」と期待を込めた。

 「たなべ座」の泉美也子代表は「全ての配役が決まっているわけではない。劇団員は常時募集している。見学も大歓迎」と呼びかけている。対象は小学生以上で、経験不問。劇団の公式LINE(ライン)から申し込める。

 公演は5月11日午後6時45分~8時。観覧無料。

 問い合わせは劇団事務局(090・3271・3103)へ。