和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月29日(日)

申請未登録で自腹も キャッシュレスのポイント還元

登録が済んでいないのに大量に送られてきたポイント還元のPR用ポスター(和歌山県田辺市で)
登録が済んでいないのに大量に送られてきたポイント還元のPR用ポスター(和歌山県田辺市で)
 10月の消費税増税とともに始まったキャッシュレス決済によるポイント還元制度だが、和歌山県田辺市の商店街ではいまだに申請が通っていない店舗もある。キャッシュレスの客に対し、「自腹」で5%分を還元した商店もある。客の総数が増えたわけでなく、決済業者への手数料を負担に感じる商店主も少なくない。

 ポイント還元はクレジットカードや、スマートフォンのQRコード決済など、現金を使わずに買い物をした際、購入額の一定割合を国がポイントとして戻す制度。還元は登録店に限り、中小店舗だと5%、大手のフランチャイズ店だと2%。来年6月末までの期間限定。

 1年以上前からスマートフォンによる決済を導入している田辺市湊の青果店「おおた」は「スマホのコード決済を始める人が増えている。ほとんどがPayPay(ペイペイ)。ポイント還元で客もお得だし、店側も仕事が増えるわけではない」と話す。

 本町の「ほしかや陶器」でもキャッシュレス決済の客が増えた。比較的高額な商品はクレジットカード、千円前後の商品はスマホ決済が多いという。

 しかし、5%還元の登録ができたのはスマホ決済が10月21日、クレジットカードは今月11日。「いずれも7月半ばには申請していた。2カ月も前なら十分だと思っていたのに、10月のスタートに間に合わなかった」と話す。

 下屋敷町の女性服店「ヌーボ」は19日現在も申請が通っていない。「5%還元とPRしてしまったので、持ち出しで5%を還元している」という。

 手続きはメールでやり取りする。「決済事業者に問い合わせても電話がつながらない。『大変混み合っています』と音声が流れるだけ。複数の決済事業者と契約しているせいか、還元制度のポスターだけは何セットも送られてくる」と困惑する。

 キャッシュレス決済では、店舗が決済事業者に手数料を支払っている。クレジットカードの手数料は4・5~5%だったが、決済事業者間の競争や期間限定の国の補助があり現在は2~3%台。「負担はだいぶ軽くなった」という。

 スマホ決済はクレジットカードに比べ、手数料が安い傾向がある。ペイペイは独自のポイント還元制度に加え、期間限定で店舗の手数料をゼロにしており、商店街でも普及している。しかし、ある商店主は「手数料が発生した時、続けるかやめるか。店により判断は大きく分かれると思う」と話した。