和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

集まる「場」に可能性 田辺駅前で共有オフィス実証実験

田辺商工会議所が実験的に設けていたコワーキングスペース(田辺市湊で)
田辺商工会議所が実験的に設けていたコワーキングスペース(田辺市湊で)
 田辺商工会議所は、田辺市駅前商店街に3カ月間実験的に設けたコワーキングスペース(共有オフィス)の運用結果をまとめた。コワーキングスペースとしての利用は低調だったが、イベントや商談での活用が目立ち、交流を生み出す場として可能性を示せたとしている。


 コワーキングスペースは、市が来夏にJR紀伊田辺駅前に開設する市街地活性化施設のニーズや集客効果を検証するため、田辺商議所が6月26日から9月25日まで有料で開設した。

 勉強会などイベントの開催は期間中に7回あり、いずれも定員かそれ以上の10~15人程度の参加があった。イベント終了後は、参加者同士が名刺交換するなど新たな出会いを促す効果があったという。

 イベント以外でも、IT企業が貸し切りで利用したり、商店街の店主が商談の場として利用したり。駅前や商店街という立地を生かしたさまざまな活用があった。

 一方で、本来のコワーキングスペースとしての利用は104人で、うち月会員は1人だけだった。出張中のビジネスマンらが主な利用者で、地域内の需要は「ほとんどなかった」としている。

 田辺商議所は「駅前にこうした場があることで、商店街や市街地に人を呼び込めることが実証できた」と強調。「コワーキングスペースの需要の少なさは想定していた。多様な人が集まってこそスペースが生きる。市街地活性化施設では講座や交流会など、いかに来てもらうかの仕掛けづくりが重要」と話した。
駅前の立地効果も


 利用者アンケートによると、コワーキングスペースを知ったきっかけは新聞記事が34%で最も多かったが、通り掛かりも15%あった。田辺商議所は「駅前商店街の好立地の効果」としている。利用目的は「仕事・作業」が5割を占め、その他は「他の参加者との交流」「情報収集」「気分転換」だった。