家賃滞納4931万円 和歌山県の田辺・西牟婁4市町の公営住宅、100カ月超のケースも
和歌山県田辺・西牟婁の市町が管理する公営住宅の家賃滞納額が、2022年度分までで計4931万円に上ることが分かった。長期間分を滞納しているケースもある。市町側はさまざまな方法で支払いを促しているが、思うように進んでいない。
田辺、上富田、白浜、すさみの各市町に、退去済みを含めた22年度分までの家賃支払い状況を紀伊民報が尋ねた。ほとんどが期限内に納めている一方、長期の滞納も一定数ある現状が浮かんだ。
■100カ月超も
4市町の滞納戸数の合計は、3カ月未満が41戸、3カ月以上6カ月未満が18戸、6カ月以上1年未満が21戸、1年以上は68戸あった。期間が100カ月を超えるケースもあった。
各市町は滞納者に対し、期間に応じて督促状や催告書を送っているほか、電話や面談などでも納付を求めている。話し合いで分納誓約を受けることもある。
公営住宅法には、入居者が家賃を3カ月以上滞納したときは市町などが裁判所へ訴えを起こし、明け渡しを請求できるという規定がある。別の法的措置を取ることもできるが、田辺・西牟婁の市町は少なくとも近年、こうした手段を取っていない。人員が限られ、他の業務を抱えていることも背景にあるとみられる。
■県は弁護士に委託
県営住宅を管理する県は、県議会の議決を経て、長期滞納者に対して明け渡し訴訟を提起している。退去済みの債務者からの回収業務は、弁護士法人に委託している。
この委託は18年度から始めた。20~22年度では、計171件分の約2306万円を回収した。委託分の回収率は35%前後だった。
◇
公営住宅の家賃滞納について、自治体はどう取り組むべきか。大阪府寝屋川市の債権の滞納整理業務を担った12年間で市税滞納額の約7割に当たる20億円超を減らすことに貢献し、「すごい地方公務員」として表彰された市職員の岡元譲史さん(40)は取材に対し「法的措置もやむを得ないと判断できるよう、普段から収支状況の把握や丁寧な納付折衝を事実として積み重ねておくことが重要になる」と指摘する。
滞納の原因になっている課題を根本的に解決する方法を滞納者と模索し、実践する必要性にも触れ「現場(の担当者)は大変。だからこそ戦略が必要で、厳しい姿勢を見せて自主納付を滞納者に働きかけるべきではないか」と話している。
田辺、上富田、白浜、すさみの各市町に、退去済みを含めた22年度分までの家賃支払い状況を紀伊民報が尋ねた。ほとんどが期限内に納めている一方、長期の滞納も一定数ある現状が浮かんだ。
■100カ月超も
4市町の滞納戸数の合計は、3カ月未満が41戸、3カ月以上6カ月未満が18戸、6カ月以上1年未満が21戸、1年以上は68戸あった。期間が100カ月を超えるケースもあった。
各市町は滞納者に対し、期間に応じて督促状や催告書を送っているほか、電話や面談などでも納付を求めている。話し合いで分納誓約を受けることもある。
公営住宅法には、入居者が家賃を3カ月以上滞納したときは市町などが裁判所へ訴えを起こし、明け渡しを請求できるという規定がある。別の法的措置を取ることもできるが、田辺・西牟婁の市町は少なくとも近年、こうした手段を取っていない。人員が限られ、他の業務を抱えていることも背景にあるとみられる。
■県は弁護士に委託
県営住宅を管理する県は、県議会の議決を経て、長期滞納者に対して明け渡し訴訟を提起している。退去済みの債務者からの回収業務は、弁護士法人に委託している。
この委託は18年度から始めた。20~22年度では、計171件分の約2306万円を回収した。委託分の回収率は35%前後だった。
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公営住宅の家賃滞納について、自治体はどう取り組むべきか。大阪府寝屋川市の債権の滞納整理業務を担った12年間で市税滞納額の約7割に当たる20億円超を減らすことに貢献し、「すごい地方公務員」として表彰された市職員の岡元譲史さん(40)は取材に対し「法的措置もやむを得ないと判断できるよう、普段から収支状況の把握や丁寧な納付折衝を事実として積み重ねておくことが重要になる」と指摘する。
滞納の原因になっている課題を根本的に解決する方法を滞納者と模索し、実践する必要性にも触れ「現場(の担当者)は大変。だからこそ戦略が必要で、厳しい姿勢を見せて自主納付を滞納者に働きかけるべきではないか」と話している。