和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

水平線を独り占め 本州最南端の和歌山・串本町で貸別荘が人気

間近に広がる海が一望できる部屋(和歌山県串本町串本で)
間近に広がる海が一望できる部屋(和歌山県串本町串本で)
かつての喫茶店を改修した貸別荘
かつての喫茶店を改修した貸別荘
 和歌山県串本町串本、上浦海岸前に今年4月に開業した1棟貸し貸別荘「villa AjU(ヴィラ エジュ)」が人気を集めている。非対面の完全プライベート空間。部屋からは間近に広がる海が見渡せ「水平線を独り占めできる」という。日帰り利用もできる。


 3階が宿泊室(最大定員4人)で、ベッドからも風呂からも海が望める。屋外のウッドデッキでは波の音を聞きながらバーベキューを楽しんだり、星空を眺めたりできる。2階には海を眺めるカウンターやソファ、ハンモックなどがある。1階は駐車場。

 おしゃれや快適さを追求した貸別荘は、ホテルやアウトドア施設とも異なる空間。オーナーの岡野紗樹さん(32)=串本=は「旅行好きで、さまざまなホテルに泊まってきた中で、『こんなのがあったらいいな』を形にした」と話す。

 宿泊予約サイトには登録していないが、交流サイト(SNS)での発信や口コミで夏場は関西を中心に東海や関東からも連日予約が入った。

 看護師からの転身。きっかけは串本町内で建設業を営む父が、海沿いにある3階建ての元喫茶店だった建物を購入したことだった。「私を含む3人の子どもが全員県外にいて、盆や正月に家族が集まる場にしたいというのが父の思いだった」。ところが、建物から見た海と周囲の景観の素晴らしさに感激した岡野さんは「家族だけで独り占めするのはもったいない」と説得し、改修を依頼。1年かけて準備し、開業にこぎ着けた。

 「AjU」の「A」はアルファベットの始まり。「jU」は自身の名前の樹で自然を連想させる。「自然を感じ、原点に戻る場所」との思いを込めた。「打ち寄せる波や夕日、天気や季節によって日々変わる景色を眺めているだけでも串本に生まれて良かったと実感する」と笑う。

 食事の提供はしていない。「スーパーマーケットやコンビニにも近く、お薦めの飲食店もたくさんある。宿泊をきっかけに串本を訪れた人に、まちの魅力を知ってもらいたい」との思いがある。

 宿泊予約がない日は、日帰りの利用も可能。「同窓会やパーティーなど、さまざまに活用してもらえればうれしい」と地元の人たちにも呼びかけている。

 問い合わせは岡野さん(080・6127・3893)へ。