和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

不幸な命減らそう 不妊去勢手術に特化した動物病院、和歌山・上富田町

手術をするスペイベッツジャパンの獣医師(和歌山県上富田町朝来で)
手術をするスペイベッツジャパンの獣医師(和歌山県上富田町朝来で)
 猫や犬の過剰な繁殖を抑制し、殺処分などの不幸な死を減らそうと、和歌山県上富田町朝来に今月、猫・犬の不妊去勢手術専門の動物病院がオープンした。費用は一般の動物病院に比べて低価格に設定。病院を運営する団体の代表理事で獣医師の橋本恵莉子さん(40)は「行き場のない命を生まないために、手術を普及させたい」と話している。

 運営しているのは、犬猫の不妊去勢手術の普及を進める一般社団法人「スペイベッツジャパン(SVJ)」(大阪府)。全国の獣医師約30人からなる組織で、行き場のない命の誕生を未然に防ぐため、メンバーは普段それぞれの勤務地域で活動している。

 今回は、同町の動物愛護団体「ワンライフ」(島田香代表)の協力で、初めてSVJとしての動物病院を開院した。名前は「スペイベッツジャパン犬猫繁殖予防病院(南紀白浜)」。地元ボランティアらと連携しながら、過剰繁殖により行き場を失う不幸な犬猫を紀南からなくすことを目標に活動する。

 過剰繁殖は災害発生時にも注意が必要。被災したペットが野放しになり繁殖してしまう恐れがあるためで、飼い主は平常時に手術を済ませておくことが重要だという。

 開院は原則毎週木曜のみ。前日までに予約が必要で、費用は猫1匹5500円。猫の場合は4~5カ月齢から発情、妊娠することが分かっており、同院では乳歯が残っている5カ月齢以下の子猫も4400円で手術する。犬の場合は体格などで費用が異なるため、個別に問い合わせてほしいという。

 不妊去勢手術に特化した動物病院は全国で増えてきているが、県内ではまだ少ない。同院では、年間千件の手術を目標にする。野良猫の捕獲などの相談にも応じる。

 橋本さんは「手術のハードルを低くし、普及を進めたい。これは社会的な挑戦でもある。紀南での取り組みが全国のモデルケースになればいい」と話している。

 予約、問い合わせは、同院の電話(080・7471・7566、午前9時~午後6時)、SVJホームページの予約フォーム、メール(info@spayvetsjapan.org)で受け付けている。