和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

災害時の動物保護で協定 和歌山県と獣医師会

大規模災害時の動物保護管理活動についての協定書に署名する和歌山県獣医師会の玉井公宏会長(右)と仁坂吉伸知事(左)=和歌山県庁で
大規模災害時の動物保護管理活動についての協定書に署名する和歌山県獣医師会の玉井公宏会長(右)と仁坂吉伸知事(左)=和歌山県庁で
 和歌山県は2日、大規模災害時に、飼うのが困難になったペットや逃げたりうろついていたりする動物を、円滑に保護や管理ができるよう、県獣医師会(会員176人)と協定を結んだ。


 協定の内容は、県獣医師会が災害発生時、飼育困難になった犬や猫などの動物の一時保護▽所有者や譲り受け希望者探し▽被災動物への資材や餌の提供▽負傷した動物への応急処置などをする。平時は健康管理や予防注射、周囲の迷惑にならない適正飼養など、災害発生に備えた措置を講じるよう飼い主に啓発するとしている。

 締結式が県庁であり、仁坂吉伸知事と獣医師会の玉井公宏会長が協定書に署名。仁坂知事は「災害が発生したら、ペットを飼っている被災者もとりあえず逃げないといけない。そのような時に、専門的な知識がある人に、助けていただくとうれしい」と述べた。

 玉井会長によると、2011年の紀伊半島大水害の際も、被災地以外の獣医師が現地に駆け付けて支援した。今回の協定により獣医師会は、大規模災害時に県動物愛護センター(紀美野町)内に設置される動物災害対策本部に入ることになる。県の災害対策として指揮命令系統が明確になることから、円滑で的確な対応が可能になるという。

 玉井会長は「過去の国内被災地の教訓からも、行政が民間団体を指導するシステムが混乱を回避し、被災者の支援に役立つと考える。協定を結んだことは非常にありがたい。平時からの適正飼養が災害時に必須になるので、その啓発にもより一層、力を入れたい」と話した。

 近畿地区の獣医師会同士でも災害時の相互支援協定を結んでおり、県全域が被災した場合は、県外から支援を受けられる態勢になっているという。