和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月26日(火)

「安居の渡し」期間限定で復活へ 世界遺産・熊野古道大辺路を舟で渡る

熊野古道大辺路で唯一、川舟で川を渡る「安居の渡し」(昨年7月、和歌山県白浜町安居で)
熊野古道大辺路で唯一、川舟で川を渡る「安居の渡し」(昨年7月、和歌山県白浜町安居で)
 船頭の高齢化や資金難などを理由に1月から休止している世界遺産・熊野古道大辺路にある「安居の渡し」(和歌山県白浜町安居)が10、11月の土日曜など、10日間限定で特別運航する。来年の熊野古道の世界遺産登録20周年を前に南紀白浜観光協会が企画したイベント「世界遺産熊野古道大辺路スタンプ&フォトラリー」(10月1日~来年2月29日)の一環で復活する。

 「安居の渡し」は、「富田坂」と「仏坂」の間にある日置川を川舟で渡る交通手段。大辺路で唯一、川舟で川を渡る。旅人や住民が利用していたが、1950年ごろから利用者が減り、その後、途絶えた。2005年10月に地元有志が「安居の渡し保存会」を結成して復活した。

 利用客は昨年7月に延べ1万人を超えていたが、資金難などを理由に1月に休止。同町日置川地域を拠点に教育旅行を受け入れている南紀州交流公社(白浜町安居)からの運航依頼のみ、地域貢献活動として応えている。

 船頭7人でつくる保存会によると現在、土日曜、祝日のみの運航や補助金などの支援を条件に再開に向け、町と協議している。

 生本洋三会長(73)は「本格的な再開は来年になる見込み。前向きに話し合っている」と語った。

 今回のイベントは、観光協会が県の補助金を受けて開催する。特別運航日は、10月が7~9日、11月が3~5日と23~26日。時間は午前9時~10時と午後1時半~2時半。川舟は2隻あり、1隻の定員は船頭2人を含め8人。川幅約40メートルを約5分で渡る。料金は保険代、紀州材で作った乗船手形を含め1人500円。

 乗船予約は2日前まで、まちなか総合案内所しらすな(0739・43・5511)で受け付けている。