和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

古座街道が歴史の道百選に 和歌山県から葛城修験の道も

「歴史の道百選」に選定された「古座街道」にある水源の大師像(和歌山県すさみ町で)=県教育委員会提供
「歴史の道百選」に選定された「古座街道」にある水源の大師像(和歌山県すさみ町で)=県教育委員会提供
 文化庁は29日、文化や人々の交流の舞台となった古道や運河を選定する「歴史の道百選」に、新たに全国で36件を追加したと発表した。和歌山県内からは「古座街道」と「葛城修験の道」が選ばれ、すでに選定されている「熊野参詣道」「高野山参詣道」と合わせて4件となった。

 古座街道は上富田町から白浜町、すさみ町、古座川町の山間部を抜けて古座川沿いを下り、串本町に至る約80キロ。江戸時代から明治中期まで、田辺と古座を最短で結んだ街道で、林業や製炭業者、行商人らが行き来したほか、西国巡礼の人たちも利用した。明治時代には「熊野中道」とも呼ばれており、司馬遼太郎の著書「街道をゆく」シリーズにも登場する。

 今回選定された箇所は潤野、一雨―相瀬、長追(以上、古座川町)―佐本根倉、佐本中、法師峠(以上、すさみ町)、宇津木越(白浜町・上富田町)。後に舗装された場所を除き、土道として残っている場所について、県教育委員会が申請していた。一部石畳の道があり、道沿いには多くの石仏も祭られている。

 「葛城修験の道」は古代から、修験者の聖地とされていた道。このうち和歌山市、岩出市、紀の川市、橋本市、かつらぎ町の箇所が選ばれた。

 今回、新たに指定された二つの道は、昔の道が今も歩ける状態で残されている点が評価された。県教委文化遺産課は「これらの道を将来に残し、多くの人に訪れてもらって、価値を体験してほしい」と話している。

 さらに、今回の追加選定を機会に、すでに選定されている二つの道の範囲にも変更があった。

 県内の熊野参詣道ではこれまで、中辺路(田辺市、上富田町、新宮市、那智勝浦町)の大門坂―請川、熊野本宮旧社地―潮見峠や紀伊路の広川町―日高町が選定されていたが、今回は中辺路の大日越、赤木越、北郡越、長尾坂、岡坂越などのほか、小栗街道(田辺市)、大辺路(白浜町、すさみ町、串本町、那智勝浦町)、小辺路(田辺市)、紀伊路(海南市、有田市、湯浅町、御坊市、印南町、みなべ町)、伊勢路(田辺市、新宮市)などでも追加があった。

 「高野山参詣道」でも、黒河道や京大坂道などが追加されている。