和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

【動画】大蛇に化身の清姫が火を噴く 4年ぶりに夏恒例の催し、和歌山県田辺

火を噴きながら会場を練る清姫の化身という「大蛇」(和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)
火を噴きながら会場を練る清姫の化身という「大蛇」(和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)
清姫供養祭で清姫の墓に参る参列者ら(和歌山県田辺市中辺路町真砂で)
清姫供養祭で清姫の墓に参る参列者ら(和歌山県田辺市中辺路町真砂で)
 和歌山県田辺市の中辺路町観光協会は29日、地元ゆかりの「安珍・清姫伝説」をテーマにした第33回「熊野古道清姫まつり」を、中辺路町栗栖川の中辺路多目的グラウンドで開いた。コロナ禍の影響で4年ぶりの開催。清姫の化身とされる「大蛇」の巨大な模型が火を噴きながら会場を練るなどし、多くの来場者が復活した夏の恒例イベントを楽しんだ。

 安珍・清姫伝説は平安時代、清姫と奥州の僧侶・安珍との悲恋物語で、清姫は中辺路町真砂で生まれたとされる。地元では、熊野詣での帰りに迎えに来るという約束を破られた清姫が「生きてこの世で添えぬなら、死して思いを遂げん」と富田川の淵に身を投げ、その一念が怨霊となり、道成寺まで蛇身となって追いかけ、鐘に隠れた安珍を焼き殺したといわれている。

 観光協会では毎年この時季に「清姫まつり」を開催。これまでは真砂の河川敷で開いてきたが、今回から会場を変更した。

 中辺路多目的グラウンドに設けられたステージなどでは、地元のくりすがわ保育園とちかの保育園の子どもたちによる「清姫サンバ」に続き、中辺路小学校の児童と保存会が「清姫音頭」、中辺路中学校の生徒が「なか中ソーラン」を元気いっぱい披露した。

 また、白浜町出身の演歌歌手・橋度順子さん、中辺路町出身の歌手・田辺大蔵さんが歌で会場を盛り上げ、なかへち清姫太鼓が力強い太鼓の演奏を披露。最後に講談師・玉田玉山さんの創作講談「清姫」に合わせ、清姫の化身である「大蛇」が現れて安珍を追いかけながら会場を練り、グラウンド近くから打ち上げた花火で催しを締めくくった。

 観光協会によると、この日は約2千人が来場した。宮井章会長(56)は「4年ぶりの開催で、今までやったことのない会場でもあり、お客さんが入ってくれるかと心配したが、非常に多くの方に来ていただいて大成功。来年に向け、さらに工夫しながら頑張っていきたい」と話していた。

■生誕地で供養祭も

 この日は「清姫まつり」の開催に先立ち、中辺路町観光協会と、清姫の菩提寺である福巌寺(一願寺)が供養祭を開いた。地区住民や観光協会の役員、劇団たなべ座のメンバーら約50人が参列した。

 供養祭は真砂の富田川沿いにある清姫堂であり、福巌寺の能城妙真住職(60)が読経し、参列者も清姫の御詠歌を唱えるなどして清姫をしのんだ後、そばにある墓に参った。