和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

【動画】通行止めの国道、迂回路変更 世界遺産発心門王子へのバスも再開、和歌山・田辺

迂回路が新しくなったことを受けて、運行を一部再開した発心門王子行きのバス。写真奥が落石で通行止めとなった国道168号の斜面(22日、和歌山県田辺市本宮町で)
迂回路が新しくなったことを受けて、運行を一部再開した発心門王子行きのバス。写真奥が落石で通行止めとなった国道168号の斜面(22日、和歌山県田辺市本宮町で)
地図 「国道168号 迂回路」
地図 「国道168号 迂回路」
 和歌山県は21日、今月2日の大雨の際に発生した落石で通行止めが続いている田辺市本宮町大居の国道168号の迂回(うかい)路を変更した。これまでのルートは道幅が狭いために4トン未満の車両しか通れなかったが、新ルートでは全車両が通行可。熊野古道の人気コースを歩くために発心門王子(本宮町三越)へと向かう路線バスも22日から一部の便が再開し、観光関係者が胸をなで下ろしている。


 県西牟婁振興局建設部本宮駐在によると、今回の通行止めに伴い、当初は音無川沿いや熊野古道の三軒茶屋跡そばなどの山中を通る市道を迂回路として設定。しかし、道幅が狭く時間帯によっては渋滞も発生しており、県は21日午前11時から、通行止めになっている場所の近くにある下向橋を渡って熊野川の対岸を通る市道を迂回路に変更。これまでより道幅は広くなったものの一部で狭い場所があるため、交通誘導員を配置している。

■急ピッチで復旧 迂回路にした市道

 田辺市土木課によると、この市道は昨年8月の大雨で道沿いの斜面のブロック積みが倒壊したために通行止めになり、11月から復旧工事に取り組んでいた。工期は今年7月末までの予定だったが、県から「迂回路として使えないか」という問い合わせがあったことから、市は業者と相談。復旧工事を急ピッチで進めてもらい、20日に工事が完了したばかりという。

 新しい迂回路が設けられたことを受け、路線バスを運行している龍神自動車(田辺市あけぼの)では22日から、熊野本宮大社から発心門王子へと向かうバスを一部で再開した。

 通常、この時期は1日7便あるが、迂回路を通ると時間が普段より15分ほど余計にかかってしまうことなどから、午前8時20分と午前10時10分に本宮大社前を出発する2便に限って再開。発心門王子から本宮大社向けのバスは引き続き運休という。

 また168号などを通り大和八木駅(奈良県橿原市)―新宮駅(新宮市)を結ぶ奈良交通(奈良市)の路線バスも、同日から直通運行を再開した。これまでは通行止めの場所を避けて、折り返し運行をしていた。

 熊野本宮語り部の会の松本純一会長(75)は「バスが発心門王子に行けないために語り部がキャンセルになってしまったケースもあった。以前の迂回路よりも時間はかかる印象だが、広くなってずいぶん楽。思ったよりも早く、皆さんのおかげ」と喜ぶ。

 熊野本宮観光協会の森知三事務局長(55)も「ここまで路線バスで来られて発心門王子に行けずに途方に暮れていた観光客もおられたので、バスが再開して、ほっとした。道が細くて困っていた高齢者もおり、住民としてもありがたい。国道の復旧工事についても早く進めていただいている印象で、なるべく早く元通りになれば」と話していた。