和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

日本一の梅産業学ぶ 児童や大学生が収穫や選果体験、和歌山

大阪大学の学生から梅拾いを教わる児童(19日、和歌山県田辺市上芳養で)
大阪大学の学生から梅拾いを教わる児童(19日、和歌山県田辺市上芳養で)
収穫した梅の実を選果していく大学生(19日、和歌山県田辺市上秋津で)
収穫した梅の実を選果していく大学生(19日、和歌山県田辺市上秋津で)
 梅の収穫が後半を迎えた和歌山県紀南地方で、小中学生や大学生らが収穫体験を通して生産量日本一を誇る地場産品への理解を深めている。19日も田辺市内で小学生や大学生が作業に汗を流した。

■小学生が梅拾い

 田辺市上の山2丁目、田辺第三小学校の4年生26人は、同市上芳養で午前中に梅拾いをし、午後からは梅シロップ作りなどをした。

 地元農家の収穫を手伝いに来ている大阪大学の坂本樹さん(25)らが作業について説明。子どもたちが楽しく作業できるように「梅取り放題クイズゲーム」を企画した。班に分かれて梅に関するクイズの正解数を競うゲームで、配られた籠いっぱいに梅を集めるとクイズに挑戦できる。

 児童らは、ゲームが始まると競って梅を拾い集め、クイズを通してニホンミツバチが梅の受粉を助けていることや、梅農家がどんな仕事をしているかなどを学んだ。

 4年生の橋本大輝君は「梅拾いはしたことがなかったけど、昨日からずっと楽しみだった。木に頭をぶつけたりして痛かったけど、ゲームは楽しくて勉強になった」と笑顔を見せた。

 担任の竹本菜々教諭は「教科書で見るより、実体験の方が記憶に残る。身近にこんな仕事があるんだ、こんなに誇れるものがあるんだと知る機会になる」と話した。

 田辺市は、農業振興や農業教育のために「農業みらい基金」を設立。本年度から市内の全小中学校で基金を活用した農業教育が始まっており、田辺第三小を含む13校が重点校に指定されている。

■関大生が短期滞在

 田辺市上秋津では、関西大学人間健康学部(堺市)の学生が農作業を体験した。

 地区内にある都市と農村の交流施設「秋津野ガルテン」や地域は、連携して毎年、多くの学生を受け入れている。農林水産省の支援制度を使っており、学生にはガルテンで食事や宿泊を提供している。関西大学の学生は11日から19日まで計18人が来た。

 農家の野久保太一郎さん(49)方では17~19日、3年生の松村結衣さん(21)と橋本莉奈さん(21)が、梅畑の斜面に敷いたネットに落ちた梅の実の収穫や選果作業に汗を流した。

 祖父母が農業を営んでいるという松村さんは「思っていたよりも大変な作業。食に対する考え方が変わった」といい、梅畑に来たのは今回が初めてという橋本さんは「農家も梅干しを作るというのは知らなかった。一つ一つの実を大切にしないといけないと感じた」と振り返った。

 野久保さんは「今回受け入れたどの学生も指示を待つのではなく、自らよく動いてくれた」と目を細めていた。

 ガルテンによると、本年度は昨年度並みの150人ほどを受け入れる見込み。ミカンの収穫シーズンにも多くの学生が来訪する。