和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

ハクビシンの分布拡大 農作物に被害及ぼす外来哺乳類、和歌山県南部で

紀南全域に広がったハクビシン(和歌山県田辺市の山中で)
紀南全域に広がったハクビシン(和歌山県田辺市の山中で)
 農作物や生活環境に被害を及ぼす外来哺乳類ハクビシン(ジャコウネコ科)の2022年度の和歌山県の旧田辺市での捕獲数は52匹だった。23年度は、5月中旬までですでに20匹が捕獲されており、100匹の大台に乗る可能性がある。隣接町でも捕獲が続いており、10年余りでゆっくりと分布を紀南全域に広げたことがうかがえる。


 捕獲数は、田辺市農業振興課と連携して市ふるさと自然公園センターの鈴木和男さんが調べており、交通事故や死骸発見なども含まれる。

 調査によると、22年度の地区別では上秋津が12匹で最も多く、次いで長野の10匹だった。新たにあけぼのと芳養松原が加わった。旧町村部では、本宮と大塔がそれぞれ2匹、中辺路と龍神が1匹ずつだった。

 また、繁殖度を示す0歳獣の捕獲も徐々に多くなっている。22年度は0歳獣の占める割合が初めて50%に達した。

 ハクビシンが旧市内で初めて確認されたのは12年度で、2匹だった。翌年度は4匹だったが14年度に12匹、19年度には23匹と倍増した。その後も増え続け、20年度41匹、21年度42匹と右肩上がりで推移している。

 近隣町の状況は、白浜町で12年度から、上富田町は16年度、すさみ町とみなべ町は19年度から確認されている。

 鈴木さんは「ハクビシンは、食害に加え、倉庫や空き家への侵入対策が要る。細身のため、直径10センチ足らずの隙間でも通り抜けられる。早期の捕獲が被害対策になるだろう」と話している。



 ハクビシンは、胴の長い体形で40センチほどの長い尾を持つのが特徴。重さは5キロまで。体は灰褐色だが鼻筋に白線が入る。樹上生活に適しており、雨どいを伝ったり、電線を渡ったりできる。雑食性だが特に果実を好む。