和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月22日(金)

世界遺産の熊野本宮大社、古い写真集めデジタル化 「貴重な資料を後世へ」

来年の世界遺産登録20周年を記念し、後世に貴重な古い写真を残したいと協力を呼びかける熊野本宮大社のポスター(和歌山県田辺市本宮町で)
来年の世界遺産登録20周年を記念し、後世に貴重な古い写真を残したいと協力を呼びかける熊野本宮大社のポスター(和歌山県田辺市本宮町で)
熊野本宮大社(2022年1月)
熊野本宮大社(2022年1月)
 和歌山県田辺市本宮町の世界遺産・熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)は来年迎える世界遺産登録20周年記念として、本宮町にまつわる古い写真を集め、資料として後世に残す事業を始めた。寄せられた写真はデジタル化するなどして保管し、活用もする計画。本宮大社は「貴重な資料を未来に残したい」と協力を呼びかけている。

 本宮大社や地域の観光、商工、行政関係者らでつくる「熊野本宮よみがえり委員会」(会長=名渕敬・熊野本宮観光協会長)の会議が10日に大社瑞鳳殿であり、本宮大社の担当者が「未来に残す熊野の風景」という事業を説明した。

 本宮大社では、今後、高齢化や人口減少がさらに進む中で貴重な写真などが失われてしまう可能性があることから「博物館のように、古い写真などを後世に残していくのも神社の社会的役割の一つではないか」と、この事業を計画した。提供してもらったり、貸してもらったりした写真をデジタル化し、展示などでも活用する予定。1975(昭和50)年ごろまでに撮影された本宮町にまつわる、祭りや風景、民俗風習が分かる写真などを募っている。

 九鬼宮司は「世界遺産登録20周年という中で改めて歴史を振り返り、未来に残していきたい。協力を頂けたらうれしい」と話していた。

 問い合わせは、熊野本宮大社(0735・42・0009)へ。

■よみがえり委員会が終了 来年に向け新しい会も

 よみがえり委員会ではこの日、4月に営まれた例大祭について、関係者が「皆さんのおかげで盛大にできた」などと振り返った。

 委員会は、新型コロナの感染予防に取り組みながら初詣客を迎える方法を考えたいと、2020年7月に発足。今年の例大祭がコロナ禍以前の形で開催できたことや新型コロナウイルスの感染症法上の分類が今月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更されたことなどから、今回で終了することになった。

 ただ、出席者からは「関係者が顔を合わせて一つのことに向かうのは素晴らしいこと」「こういう場があることで意見交換ができる」といった意見もあり、九鬼宮司は「委員会は区切りとして閉めさせていただいて、来年の世界遺産登録20周年に向けての会を進めていければと思っている。新たなスタートを切れれば」と提案。今後、新しい形の会をつくるという方針でまとまった。