和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

沖の鹿島で明神祭 一般参拝は4年ぶり、みなべ町

鹿島神社の元宮で「豊栄の舞」を奉納する3人の巫女(和歌山県みなべ町沖の鹿島で)
鹿島神社の元宮で「豊栄の舞」を奉納する3人の巫女(和歌山県みなべ町沖の鹿島で)
参道前の御仮屋に祭られた船だんじり(和歌山県みなべ町埴田で)
参道前の御仮屋に祭られた船だんじり(和歌山県みなべ町埴田で)
 和歌山県みなべ町沖の鹿島に祭られている鹿島神社・元宮で3日、明神祭が営まれた。4年ぶりに一般の人も参拝する中、巫女(みこ)の舞の奉納などがあった。

 コロナ禍により、過去3年間は総代や関係者だけで営んだが、今年は昨年の約3倍に当たる約120人が参列した。

 神事では亀井隆司宮司(49)が祝詞を上げ、各区の区長や埴田区の区会議員、自主防災会の会員、総代らが順番に玉串をささげた。

 その後、いずれも南部中学校3年の深山紅愛さん(14)、木田美々花さん(14)、山下小有紀さん(14)の3人が「豊栄の舞」を優美に舞った。

 鹿島は沖合に浮かぶ無人島で、奈良時代以前に常陸の国(茨城県)の鹿島神宮から勧請したと伝わる鹿島大明神が祭られている。江戸時代の宝永4(1707)年と嘉永7(1854)年に起こった地震の津波から地区住民を守ったといわれ、島全体が信仰の対象となっている。祭りは神に感謝するために営んでいるという。

 亀井宮司は「やっと一般の人にも参列してもらい、営むことができてよかった。今年は8月の奉納花火祭りや10月の秋祭りもコロナ禍前のように盛大にしたい」と話していた。

 参拝者が船に乗り込む埴田漁港では、みなべ観光ガイドの会と梅の里民謡クラブのメンバー計15人が、鹿島を歌詞に取り入れた「鹿島音頭」を演奏して踊り、参拝者を楽しませた。

■船だんじりお披露目

 この日、参道前に設けられた御仮屋に船だんじりが祭られた。半世紀ぶりに修復したもので、今年の秋祭りに渡御に加わる予定だが、その前に参拝者にお披露目した。

 田辺城主・安藤直次(1554~1635)が入城の際に用いたとされる軍船を加工しただんじりで、長さ約8メートル、幅約2メートル、高さ約3メートル。半世紀前に渡御に出なくなり、車輪が壊れたまま境内の御舟倉に保管されていた。それを2019年に船大工が修復し、文化財修復師が竜や波の図柄で彩色を施した。

 コロナ禍により秋祭りの渡御も明神祭での一般参列も3年続けて中止となっていたことで、お披露目できないでいた。

 生まれ変わった船だんじりはちょうちんも飾られ華やかで、参拝者らは見入っていた。

 秋祭りの渡御の際にはのぼりも飾られ、御舟歌も復活する。神社総代長の葛城知則さん(84)は「修復してから4年経過したが、やっと見てもらえた。秋祭りには子どもたちに引いてもらおうと思っている。ぜひ見に来てもらいたい」と話していた。